例えば、アメリカのシリコンバレーには、「シンギュラリティ・ユニバーシティ」というものが存在します。キャンパスもない、学位もないけれども、食料、貧困、エネルギーなどあらゆるテーマで、第一線の民間企業の技術者たちが講師となって教えている。日本でも、本当に企業の第一線で活躍している技術者の人たちが、社会的な課題とその解決について講義をしていくといった流れは、あってもいいと思いますね。
――新経済連盟では、「教員免許の弾力化」という提言を、これまでも出していました。
2020年までにプログラミング教育をやると、国の方針として明確にしているのですが、これはターニングポイントになると思っています。そのプログラミング教育を、民間の人たちが入っていってやるか、学校の先生が勉強してやるかで、成果は全く変わるはずなんですよね。学校の先生が社会的に必要なプログラムのあり方というのが分かるのか、疑問なところもあるわけです。
教員は教壇に立つだけではなくて、ビジネスを理解するべきだし、ビジネスの側も、教育を理解するべき。プロフェッショナルな人たちが実際に教育の現場に降りていって、産学連携できちんと学生に気づきをつくっていくことは、非常に重要だと思います。
「高卒がエリート」の時代は来るか
――そうした方向を突き詰めていくと、学生はいち早く社会に接続してしまった方が、結果としてもっとも効率よくスキルを身につけられるのではないでしょうか。極端な話ですが、高卒ですぐ企業に行く人が、真のエリートという時代も絵空事ではないかと。
長期的には、今おっしゃっているようなものも、一つの選択肢として出てくるのではないか、と思っています。なぜならば、グローバル化が予想以上に進行しています。
正社員比率が下がり、グローバルな人たちが労働市場に入ってきて、日常的に働くようになってきているので、「日本のなんとか大学出ています」ということが強みにならなくなってくる。そういう意味では、長期的には高校すぐ出て働くということが、当たり前になってくることもあるのでしょう。しかし、短期的には、なかなか簡単ではない。日本企業は、「大学を出ている」という事実を非常に重んじていますから。
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