――まだまだ、採用の入口の段階では「大卒」シグナリング効果は強い。
ただ、日本社会の中の大きな機会損失だと思いますけどね。大学4年間、あの一番体力と気力が有り余っている時に、例えば、一流金融センターみたいなものを作って、全員に金融投資をやらせて、「この中から次の金融の天才を発掘するんだ」といったことをやったほうが、よいのではないかという気もしています。
――エリートを発掘する視点も大切ですが、大学教育の内容がすぐには変わりません。現時点で、大多数の学生は、どのように動くことがベストでしょうか。
私は、大学1年生と高校生には、「大学生になったらアルバイトをするな」と言ってます。要は、「アルバイトをせずにインターンシップを大学1年生からしなさい」というような話なのですが。
アルバイトというものは時給単価で、自分の肉体的な時間を切り売りする作業。これは、ロボットやAIに置き換わるような作業であることが多い。それに対してインターンは、必ずしも対価はそこまでもらえないのかもしれないけれど、企業の現場で働くことに触れて、その仕事について考える。そういう機会を早くから得るということは、非常に重要ではないかと思います。
貧富の差は加速度的に広がる
――社会となるべく接点を持つ行動を取るのが、今のところベストになるでしょうか。受身で働かず、付加価値の高い仕事を選んでいくことが大切ですね。
卑近な例で恐縮ですが、クラウドワークスに登録すれば、大学生でも自分のスキルを生かしてお金を稼ぐことはできる。インターンだけでなく、今ならインターネットなどで、物を仕入れて物を売るなんていうことも、すぐにできますよね。自分が動いて、自分なりの仕組みの中でお金を稼いでいくことは、可能なわけです。
これからの10年に通じるようなある専門的な特殊スキルを深堀りして、そのプロフェッショナルになっていくという選択肢も、一つの短期的な解決法としてはあり得るかもしれません。しかし、今の世の中でいくと、10年続く可能性のあるスキルが一体何か、ということは正直分からない。私は、どのようなレベルにいる人に対しても「考える力」を促し続けないと、やはり貧富の差は加速度的に広まると懸念しています。このまま放置すれば、一握りの才覚のある人たちにどんどん富が集まっていく。
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