多くの人が陥る「家計簿で節約」の落とし穴 毎月一喜一憂するより「本質」を押さえよう

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私自身、初めて貯蓄に目覚めた時は後者でした。26歳のときにマンションを購入し、その時から貯蓄を意識するようになったのです。当時は前年の6倍の貯金を実現しましたが、その時も家計簿はつけていませんでした。

今は仕事の関係で家計簿をつけていますが、わが家の貯蓄が増えているのは家計簿による効果ではありません。無駄遣いを削りつつ、自分に合った節約術を実践しているからこそ、貯蓄が増えているのです。

家計簿の理想割合はあくまでも理想

家計簿を記録している人は、食費や住居費などの金額の適正な割合が気になるものです。このような支出の「理想の家計割合」は、特に主婦雑誌で特集されることが多く、定番記事といえるでしょう。

こうした記事では、たとえば理想的な貯蓄の割合は収入の20~25%など、具体的な数値が紹介されています。もちろん、家計管理が上手な家庭では3割以上貯蓄しているケースもありますし、総務省の家計調査を見ても、可処分所得から消費額を差し引いた「黒字率」が25%前後になることが多く、20~25%という目安は適切なものに思えます。

しかし、実際に多くの人たちの家計簿を見せていただいた経験から断言できますが、無駄遣いをしているわけではないのに、貯蓄を20%以上キープできていないご家庭は意外と多いのです。

そもそも、支出は季節やライフイベントによって波があるものです。基本的には貯蓄上手なご家庭であっても、子どもの進学が重なったために貯蓄の比率が10%を切ってしまい、ボーナスのやりくりでしのいでいるというケースもあります。

月々の支出割合だけを見て落ち込んだり、「どうせうまくいかないから使ってしまおう」と極端に走ったりするのではなく、1年間や5年間の長いスパンで見て、おおむね問題がないかチェックしたいものです。雑誌などで家計割合を紹介する記事を読む際には、「この割合はあくまで一般的に理想とされている比率にすぎない」という点を考慮することが大切です。

結論からいえば、データ記録の継続が難しいと感じるのなら無理に家計簿をつける必要はまったくありません。家計簿でつまずいている場合はキッパリとやめ、自分に合うほかの節約術を試してみるのが得策です。そのほうが、よほどおカネは貯まります。

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