アコーディアが「統合検討」の要請にYES TOB攻防終盤でレノに回答

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(1)PGMによるTOBが終了した時点(買い付け期間は1月17日まで)で、PGMとの統合に向けた交渉の場につくこと。

(2)株主還元策の継続的な実施と明確な基準を策定すること。すでにアコーディア側が表明している配当性向9割をメドとする大幅増配だけでなく、フリーキャッシュフローを最大限活用して、PBR(株価純資産倍率)1倍を保てるような自己株取得を徹底的に行うこと。

レノの要請にアコーディアは肯定的回答

こうしたレノからの書簡に対して、アコーディアは15日、16日に、独立した社外取締役や社外監査役も含む取締役会を招集し、集中的に審議・検討を実施。レノが示した2点の要望について、以下のように回答した。

(1)TOBについては方法の不当性などから反対したが、PGMとの経営統合については、当社株主の最善の利益に資するものであれば、事業戦略上の有力な選択肢の1つとして検討を行う必要があると考えている。TOB終了後に、アコーディアとPGMの双方が相手方に対しデューディリジェンス(M&A時などに行われる企業調査)を実施し合い、経営統合の内容や条件等について交渉の場につく用意がある。

(2)大幅増配だけでなく、自己株式取得についても、当社の株主還元重視の方針と方向性に合致している。PBR1倍を下回る局面では自己株式取得も合理的な選択肢と認識している。

TOBの最終期限は1月17日の15時。レノはアコーディアに対し同日の正午までに回答を行うよう求めていたが、アコーディアはその期限を待たずに、TDnet(東京証券取引所)を通じて、16日の株式市場がまだ開いている14時に回答を公表した。

このタイミングでは、個人投資家はこれから新たにTOBへ応募することは手続き上不可能だが、すでにTOBに応募済みの分について撤回することは可能だ。また、機関投資家の中には、17日当日までの株価の動きや、今回のアコーディア側による回答の内容を精査したうえで、同日15時までにTOB応募の可否を最終的に判断するところも出てきそうだ。

TOB攻防戦の最終盤になってから飛び出したレノの株式買い増しと“公開質問状”、そしてレノの要望にひとまず“YES”を表明したとも取れるアコーディアの回答公表だけに、アコーディアの株価やTOBの成否に与える影響は大きい。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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