「無職です。たまにソープに出勤するくらい。私がこんなになってしまったのは“あいつのせい、あいつのせい”という気持ちが強くて、恨んでばかりだったから。ずっと精神状態が悪くて、ご飯を食べれなかったり、眠れなかったり。最悪なときは歩けなくなった。相手を恨むことをやめようと決めてから、ちょっとずつ回復しています。今は過去のことを、もう何とも思わなくなりました」
1時間半遅れで待ち合わせ場所に現れた新垣玲奈さん(28歳、仮名)は遅れたことを何度も謝ってから、そう語りだす。沖縄のヒエラルキーの頂点と呼ばれる琉球大学中退、現在は実家で両親、年齢の離れた妹弟と暮らしながら、那覇市内のソープランドに勤める。
新垣さんは典型的な琉球美人だった。しかし、安定剤の影響か、若干ろれつが回っていない。ゆっくりとしゃべる。健康体でないのは言葉を交わせば明らかで、とても就業できる状態ではなかった。それを本人も自覚していた。観光客でにぎわう国際通り、新垣さんは無理して人混みにやってきたという状態だった。彼女を壊したのは、恋人によるDV(ドメスティックバイオレンス)である。
テストで高い点数を取るのは得意だった
沖縄県の所得、雇用、離職、離婚が全国最悪なのはお伝えしたが、家庭内における暴力=DVも多い。県内有数の上位高校から琉球大学に進学、明るい未来があったはずなのに、いったい何があったのか。
「別に高校も大学もたいしたことないです。先生に“やれ”と言われたことを覚えて書くことが得意だっただけで、テストで高い点数は取れた。大学に行って自分でテーマを決めて、興味あることを調べて、自分の意見をまとめてレポートにする、ということは苦手で、琉球大では劣等生。成績は悪いながら、大学3年までは飲食店のアルバイトと学業を両立できて、公務員試験でも受けようかなとか思っていました。そんなころ、元彼と出会っちゃって、人生がおかしくなりました。彼氏は自衛隊員ですね」
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