当時、大学の近くでひとり暮らし。学費は親が払い、家賃と生活費は毎月6万円が振り込まれる第一種奨学金と、アルバイト。飲食店と塾講師を掛け持ちして月10万円ほど、学業とアルバイトの両立はできていた。大学3年の春。新しくできた恋人が転がり込み、同棲をするようになった。
「最初は優しかったし、一緒にいて楽しかったので付き合ったけど、まず金銭的に依存してきた。給料が少なくてお金がないっていつも言っていて、食費とか遊びに行くお金とか全部私が払ってました。クルマの免許も事故で免許取り消しになって、送り迎えとか全部させられた。私もお金と時間が足りなくなって、大学3年から第二種奨学金を毎月12万円のフルで借りた。奨学金は全部彼氏に持っていかれるみたいな状態です」
彼氏は職場への送り迎えから、食事、デート、彼女がなんでも面倒みてくれることを望んだ。なにをしてあげても、それが当たり前のことと思っていた。大学はゼミと研修が始まり、忙しくなった。アルバイトも週4、5日は働かないと、ひとり暮らしの学生生活は維持できない。「バイトもあるし、もう、送り迎えはできない」と言ったとき、彼氏の暴力がはじまった。
アザだらけで半袖は着られない
「蹴る、殴る。蹴る、殴るです。日常的に殴られるようになった。とにかく恐ろしかった。レポートやりたいって言っても、“はっ? まだ話終わってないし”って、やらせてもらえない。彼氏が怖くて時間を作れるように飲食店をやめて、時給のいいスナックで働き始めた。けど、今度は客に嫉妬されてもっとDVはひどくなった。カラダはあざだらけ、半袖のシャツは着ることができないくらい」
新垣さんだけではなく、沖縄の風俗や水商売界隈で働く女性たちは、必ずって言っていいほど恋人によるDVの話をする。それは、どの程度の暴力か。トラウマになっているのか、当時の暴力の話になると、さらに言葉が聞き取りづらくなる。
「私が運転しているときに暴れて、クルマの窓ガラスを割るとか。運転中にガンガンって殴って、視力かなり悪いけど、殴られてコンタクト取れて何も見えないのに、そのまま運転しろとか。どうして別れなかったかというと、半同棲なので家は知られているし、実家もバレちゃっているから逃げられない。一度、殺されると思ったとき、警察を呼んだの。殴られておしっこを漏らしちゃった。恐怖で漏らすってよく言うじゃないですか、それは本当のこと。コンビニでパンツを買ってくるって言って、そこから通報した。私と彼氏が事情を聞かれたけど、警察には“スナックで働いているあなたが悪い”って言われました」
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