思考のスピードが速い人は「型」で考えている 思いつきで「もぐら叩き」するのは時間のロス

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なお、実際のビジネスでMECEを使うときには、ME(ダブりなく)よりも、CE(モレなく)のほうが100倍大事です。理由はなんとなくわかると思います。世界地図の例だと、ある大陸ごとごっそりと考慮がモレていたら影響は大きいですよね。

ピラミッドで「構造化」する

MECEで全体像を把握したら、今度は「ピラミッド構造」というフレームワークを使って物事を「構造化」していきます。ピラミッドで構造化するとは、物事を分類し、それを階層に分けて整理することです。

先ほどの世界地図を例に説明します。まず、MECEでモレのない全体像をおさえました。これをひとつずつ小さなレベルに段階的に分解していきます。

たとえば、南アメリカ大陸を分解すると、ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビアなどの国が出てきます。これを大陸の下の階層に並べます。さらに小さいレベルに分解すると、各国の都市が出てきます。このようにして、段階的に階層化して整理するのです。

たとえば社員が1000人いる会社の人事戦略を考える場合。まずは社員を図で整理してから戦略を考えましょう。社員をグルーピングして組織を階層化すれば、組織図ができ上がります。このように組織図として整理をすれば、組織単位に戦略を検討することができます。漠然とした1000人について分析したり考えたりするよりも、より効率的に簡単に考えることができるのです。

こうすれば、MECEで全体を整理し、ピラミッドで段階的に階層構造化できます。

さて、このように整理することのメリットは何でしょうか。自分の仕事、チームの仕事の「選択と集中」が適切にできることです。この分野については後回しにする、この階層の課題解決を優先する、といった感じでポイントごとに優劣をつけ、決めていくことができるようになります。整理されていない状態では、適切な判断はできません。

また、整理ができていないと、「致命傷」となるような考慮のモレが生まれてしまうこともあります。たとえば5章立ての本を執筆するときに、①文章を書く、②図を作成する、③イラストを発注するという3つの作業が発生したとします。たとえば①の文章を書くなかで、1章分の執筆を忘れていた! という場合なら、すぐにリカバリーが可能でしょう。

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