日本復活のために、相続税100%でもいい

高齢化社会のグランドデザイン(下)

波頭:相続税を100%課税するかどうかはともかくとして、相続税の課税強化は私も賛成です。現在、相続資産は毎年平均で37兆円くらい発生しているといわれていますが、相続税として徴収しているのは1年に1兆円あまり。相続税を支払っているのは、課税対象者の4%、25人に1人です。もし、相続資産の半分でも課税できれば18兆円の課税収入になり、消費税6%分に相当するわけです。

さらに、相続課税が強化されると、税金で取られるくらいなら使ってしまおうというインセンティブが働きますから、死蔵されていたお金が動くようになる。高齢者が好きなことに積極的にお金を使うようになれば、高齢者のライフスタイルももっとハッピーなものになるでしょうし、経済だって活性化される。

子どもは子どもで、親の財産をあてにできなくなるのでアクティブにがんばるようになるはずです。相続課税の強化の効果は、思う以上に大きなものになるでしょう。

相続課税の強化は、教育レベル向上にもつながる

和田:相続課税の強化は、先に話題に上った教育レベルの向上にも大きな影響を及ぼすと考えています。

相続税が100%になるとしたら、会社経営者などのお金持ちの親は2つの選択肢から選ぶことになります。1つは、子どもに会社を継がせず、高収入を期待できる医者や弁護士などにするという選択。この場合、難関大学に入り資格も取らなければなりませんから、当然子どもにはしっかり勉強させることになります。

もう1つの選択は、会社の経営を継がせる。この場合、親が生きているうちに経営は禅譲できますが、株式を相続することはできません。したがって、先代である親が死去した後に、子どもが経営者として残れるかどうかはひとえに子ども自身の能力にかかっています。

つまり、ろくに勉強もしてこなかったバカな2代目社長では、会社を追い出されてしまうわけです。そうならないためには、子どもは勉強して知識を積み上げなければなりません。

波頭:お金持ちのボンクラ息子が会社を駄目にするのはよくある話ですからね。何よりも、生まれた家庭の資産格差によって実質的な教育や就職の機会の平等が損なわれてしまい、階級の固定化や階層構造の硬直化が起きていることが今の日本社会の最も深刻な問題なわけです。相続税の税率を大幅に上げることは、この問題に対して有力な対策になります。

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