日本復活のために、相続税100%でもいい 高齢化社会のグランドデザイン(下)
これがうまくいけば、中国や韓国には、どうぞ低付加価値の家電製品をつくってください、そして高齢化が進んできたときには日本の高齢者向けビジネスやサービスを利用してください、といえるようになります。
相続税100%という選択
和田:ここでいちばん邪魔になるのが相続だと私は思っているんです。日本人の平均寿命は年々延びて、子どもが親の財産を相続する平均年齢は60歳を超えているんです。60歳になって退職金が入り、大手企業に勤めていたら厚生年金のほかに企業年金も入ってくる。さらに、それに加えて親の遺産も入ってくる。そして高齢になってできた財産を使わないまま80代で亡くなっていく。
一方で、若い世代はお金がなくて苦しい生活を強いられている。これは社会構造的に見て健全な状態とはいえません。何とか、巨大なデッドストックとなっている高齢者のお金を世の中に循環させる必要があります。
波頭:まったく同感です。
和田:そこで、過激だといわれますが、私は相続税100%を主張しているんです。
税制は財政問題として捉えられることが多いですが、インセンティブとしての役割も大きい。たとえば、エコポイント減税は消費の拡大に大きく貢献しましたし、たばこ税率の引き上げは、喫煙者の減少につながります。このように、税額を上げ下げすることで消費行動を活性化したり、抑制したりすることができるのです。
財産相続をあきらめる代わりに、要介護状態になったら必ずどこかの老人ホームに入れるとか、公的年金は一定に維持されるとか、高齢者が安心して老後を過ごせるような仕組みにすることができます。ちょっと共産主義的なところはありますが、むしろ高齢者にとっては安心した社会保障になるのではないでしょうか。
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