日本復活のために、相続税100%でもいい

高齢化社会のグランドデザイン(下)

ちなみに、所得税で見れば累進課税が強かった昔の日本では最高税率は9割近かったんですよね。意外なことに北欧の福祉国家では相続は非課税だそうですが、所得税は平均7割、お金持ちは9割近く取られるといいます。

また米国でさえ、冷戦時代の最高税率は93%までいきました。このときお金持ちの所得税率を上げることによって、米国では中流階級が膨らみ、GEやGM、フォードといった国を代表する産業が発展しました。そして、この頃の豊かな米国に日本が憧れたのです。

和田:意外に米国人のほうが子どもに財産を残して階層を固定化するのを嫌がるようですね。努力と才覚さえあればアメリカンドリームをつかめるのが、米国の強みだと本気で信じているんです。

「老人が世界一幸せな国」としてブランディングする

和田:このまま高齢者が増えていくと、社会保障費や老人医療費は消費税を20%に上げても賄えないといわれています。このままいくと、若い世代の給料の4割、5割が社会保障費として高齢者に吸い上げられるようになってしまう可能性もあります。

一方で、高齢者は60歳になると退職金と相続のダブルボーナスを手にするのは、どう考えてもおかしな構造です。老後の心配はいっさいいらないようにするから、相続をあきらめて若い世代の消費税や社会保障費を安くしてやってほしいというのが、私の言い分です。

ましてや、高齢者も気兼ねなくお金を使えるようになりますから、新たな高齢者向けビジネスやサービスもできて、経済の活性化も図れます。

相続税を高くしたら、お金持ちはみんな海外に出て行くという人もいますが、そんな心配はまずありません。高齢者になって海外で暮らすことがどれだけ負担になるか考えてみればわかるでしょう。

波頭:先ほど和田さんは「共産主義的」という言葉を使われましたが、実は最も市場経済を重視している経済学のシカゴ学派は、社会の安定と経済の活性化のために社会保障をすごく重視しています。

なぜなら、貧しい人が大量に滞留したら、社会が沈滞・不安定化し、消費が活性化しない。そうならないように、きちんと生活できるだけの社会保障・社会福祉を充実させて、雇用を増やし、お金を使ってもらおうという発想なのです。

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