今後もこのようなことは起きるだろうし、その被害を受けるのはむしろ機械的に判断してトレードする運用者かもしれない。現在はトレード判断の能力や計算スピードなどの優劣が、投資結果を左右している。つまり、投資判断の本質とは異なる部分で運用成績が決まるという本末転倒のことが起きているのが実態である。
また今回の英国のEU離脱という大事件は、過去にあまり例のないケースでもある。人工知能(AI)のような、過去の事象を学習して運用成績の向上を図るシステムが、このような事象に対してどのようにノウハウを積み上げていくのかは非常に興味深い点ではある。
「取引をしないこと」も立派な投資判断
しかし、事態はかなり複雑になっているように感じる。機械的な判断ができない部分も多いだろう。筆者は、今回の国民投票の前には、取引をしない方がよいとの判断を下し、東洋経済オンラインの6月21日の記事「日経平均の値動きはリーマン前に似ている」や、筆者が講師を務めるセミナー、さらにはメールマガジン(毎日発行)などでその考えを伝えてきた。うまく立ち振る舞えれば収益機会があることは十分に理解していたが、一般投資家には対応が難しいと判断したのである。
結果的に、「大きな損失を受けずに済みました」との声を投資家の方からいただき、このような判断でよかったのだと感じている。今後も多くの複雑な事象への判断が必要な場面が来るだろう。
その際に、今回の大事件の市場の動きは大いに参考になるはずである。「トレードしない」ことも立派な投資判断であることを、再確認しておきたいところだ。また、その一方で、「どのようにすれば収益をあげられる」かについてもそれなりに学んだはずだ。そのノウハウを、次回のチャンスでぜひ活かしていただきたいと考えている。
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