高年収な人ほど「老後貧乏」に陥りやすい理由 「なんとかなる」という甘い算段は危険だ

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実際にご自身の毎月の老後の生活費をシミュレーションする際には、下記のようにカテゴリ分けしてみると、何におカネがかかっているかわかりやすいでしょう。

・ 食料費
・ 住居費
・ 光熱・水道費
・ 家具・家事用品
・ 被服および履物
・ 保健医療
・ 交通・通信
・ 教育
・ 教養娯楽
・ 交際費
・ その他
・ 税金・社会保険料

年金はもっともリターン率が大きい投資

老後の収入源といえば、年金です。しかし、少子高齢化が進むこれからの日本では、「国の年金はあてにならない」という人もいますが、果たして本当にそうでしょうか?

そもそも国の年金は支え合いの仕組みなので損得で語るべきことではないのですが、それでも損得が気になるのが人情というもの。ちょっと日本に住むすべての人が加入義務を負う国民年金で損得を検証してみましょう。

現在の国民年金保険料は1万6260円です。日本に住む20歳以上のすべての人が負担すべき金額です(厚生年金加入者の場合、厚生年金保険料に国民年金保険料が含まれています)。

国民年金の保険料を480カ月、まったく未納なく納付すると老齢基礎年金満額が受給できます。この額は、78万0100円です。これが年間の受取額です。これに対して支払う保険料の合計は、780万4800円です。相当大きな金額ですね。

支払った保険料を受け取り年金額で割ると損益分岐点となる年数がわかります。780万4800円÷78万0100円=10.0048年。つまり、受給開始から10年経過すると元が取れるという計算です。老齢基礎年金満額78万0100円を65歳から受け取りはじめると75歳で支払った保険料を回収し、それ以降は利息の受け取りとなります。

仮に、年金を90歳まで25年間受け取るとすると、受け取り総額は1950万2500円です。これは月々1万6260円を年利6%で35年にわたって積み立てた元利合計とほぼ同額となります。資産運用をしたことがある人であれば、これがどれほどすごいことか理解できると思います。厚生年金についてもほぼ同じくらいの損益分岐点となっています。

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