夏に日本茶を売る「抹茶ビアガーデン」の秘密 都心のホテル龍名館が女性の心を掴んだ!
ビアガーデンであれば、ビールが欠かせない。そこでビアガーデンの広告塔として開発したのが抹茶ビールだった。「狙い通り、インパクトのある緑色のビールの写真がブログやSNSで広まった。ただし、反響の大きさは予想以上だった」(龍名館・濱田裕章取締役部長)。
ホームページのアクセスは通常の10倍となり、終日予約の電話が鳴り続けるなど、対応が間に合わないほどの反響があったのだという。受けきれなかった予約や、フリー(予約無し)のお客をやむなく断るなど、“取りこぼし”も多くあったものの、ビアガーデンの開催された4カ月を通して4300杯の抹茶ビールが売れた。ピーク時にはビアガーデン営業時間帯に80〜100名のお客が入り、1日の売上げは通常営業時と比べて倍増したという。
目標は2回転させること
今年に関しては前述のように、すでに数週間先まで予約が埋まっている状態。昨年は抹茶ビールだけだったが、抹茶ワイン、お茶スイーツなど、目玉商品も増やし、昨年以上の集客が見込まれる。そのため予約の受け方を工夫したり、フリー客の席を準備するなど、体制を整えているという。また、より多くの客を迎えるためには、回転率も課題だ。ビアガーデンの営業時間帯である午後5時半から11時までで、2回転を目標としているそうだ。
ビアガーデンで一番売れているというのがやはり抹茶ビール。爽やかな抹茶の苦みがビール特有のクセを消すのか、女性など、ビールが苦手な人でも飲みやすい、と好評なのだそうだ。サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」をベースに、抹茶を独自の方法でブレンドしたものだが、単に混ぜ合わせればよいわけではなく、開発には特に苦労したという。
「ビールの試作では試行錯誤を繰り返した。飲むと口の周りに緑色の泡がつくし、単に混ぜただけだとビールの炭酸が抜けてしまう」(濱田部長)など、さまざまな困った事態が起きた。
こうした障害は最終的に、抹茶の粒を小さくすることで克服できたという。なお、この製法については特許を出願中だそうだ。またベースとなるビールもさまざまな種類のものを試し、プレミアム・モルツとの相性が一番よいという結論になった。濱田さんいわく、「両者の味がひとつになり、新しい味わいをつくっている」のだそうだ。
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