夏に日本茶を売る「抹茶ビアガーデン」の秘密 都心のホテル龍名館が女性の心を掴んだ!

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今年の目玉商品は抹茶ワイン

今年の新たな目玉商品が抹茶ワイン。甘口の白ワインに抹茶をブレンドしたものだが、甘さとほろ苦さのバランスが「女性に好評」とのこと。これについても、開発裏話がある。

「私自身はお酒が好きで、ワインも辛口が好み。だから開発スタッフには『辛口にしては』とアドバイスしたが、実際に試してみると、やっぱり相性がよくない。甘口ワインのほうがバランスがよいのだと思う。私自身の好みとは違うが、お酒の飲めない女性スタッフが『おいしい』というので、彼女たちの感覚を信じた」(濱田部長)

料理に関しては、飲み放題に含まれるお茶料理や、「抹茶ビアガーデンセット」(5品・3000円)ほか、単品計19品が用意されている。人気の抹茶ポテトサラダのほか、今年は生の新茶の茶葉をバジルのようにあしらった「新茶の酒盗ピザ」、抹茶入りとろろをかけた特製だし巻き玉子など、お茶尽くし、緑尽くしの品々だ。

果物をディップして食べる「お濃茶フォンデュ」

お濃茶フォンデュ

さらに女性の視線が集まりそうなのがスイーツだ。抹茶を使った手作りプリンや、米粉のパンケーキといった定番メニューに加え、抹茶を濃いめに練った“お濃茶”に季節の果物をそのままディップして食べるという「お濃茶フォンデュ」が今年の注目の品。しかしこれも、オペレーションが簡単で、インパクトのあるスイーツを模索した結果の、いわば苦肉の策のようだ。というのも、同店はスイーツ専門のパティシエを抱えていないため、凝ったスイーツを提供するのは難しい。また、日中はレストランやカフェとして営業しているから、仕込みに手間がかかるものだと通常営業に支障が出てしまう。

その点、カットしたフルーツにディップを添えた「お濃茶フォンデュ」なら、作る工程は非常にシンプルだ。お客にとっても、フルーツとお茶のコンビネーションなら、お腹いっぱい食べた後のデザートとして最適だ。健康や美容への志向が高い、女性の好みにもヒットする。フォンデュする食べ方も、イベント性があって受けそうだ。

このように抹茶ビアガーデンでは、普段からアルコールを飲まない人に飲みやすいドリンクや、ヘルシー志向、スイーツの充実など、女性客の視点に重点が置かれている。それもそのはず、同店は通常営業時はお客の男女比が3対7で、ランチとなると9割が女性と、かなり女性客に偏ったレストランなのだそうだ。周辺オフィスで働くビジネスパーソンが多いが、ビアガーデンを始めてからは、さらに学生などの若者へ客層が広がり、休日ともなると、「面白い店がある」ということで、目的来店の客が増えるという。

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