注意!猛暑最高記録「41℃越え」が迫っている 「5年トレンド」で平均気温は上昇傾向

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商品のうち、直接冷たさが得られるアイスクリームが好評なのは当然だが、度が過ぎて品薄となり、8月6日にホームページで謝罪した例もある。先述のように2010年の猛署のピークは8月中旬だったので、その1週間以上も前の出来事であり、生産・在庫の予測の難しさを浮き彫りにした。

2010年6〜8月のビール系の国内出荷量は、第三のビールが前年同期と比較して8.0%増、一般的なビールが0.2%増だった。都会のビル屋上にあるビアガーデンの売上高は10~20%増と推定されている。

医薬品・化粧品などドラッグストア関係の個人消費は、猛暑が始まるとすぐに影響がでる。同じく2010年6〜8月の販売額の前年同期比を見ると、汗拭きは44%増、入浴剤20%増、ボディローション4倍、制汗剤30~33%増、日焼け止めクリーム52%増、清涼寝具(枕・布団など)は約50%増だった。

高齢化でレジャー関連のリスクも

レジャー関連では海水浴やプール、川辺のキャンプなどがあるが、特に都市内や都市周辺で増加傾向が強い。2010年6〜8月の東京よみうりランド(東京稲城市)のプール客は前年同期比28%増、東京サマーランド(あきる野市)では30%増だった。登山者数も増加した。高齢者による登山の増加の背景もあり、猛暑の年には夏季の山岳気象や、それに対処する装備に関する啓蒙が必要であろう。

高速道路では自動車が渋滞に巻き込まれ、クーラーをいれたままだと燃料切れになるケースが多発する。また道路の表面が異常な高温になり、タイヤがパンクしやすくなる。こうした背景から、2010年夏の事故件数は前年比4.9倍となり、自動車関連費の支出も増えた。

第一生命経済研究所によると、7~9月の東京・大阪では気温が1℃平年より高くなると、個人消費が4333億円押し上げられ、国内総生産(GDP)換算で0.3%増の効果があるという。ただ、重要な点は、この1℃分の効果が猛暑でも冷夏でもあてはまるのかどうかだ。

以上、2010年並みの異常気象や猛暑が今夏到来する可能性を考え、参考になりそうな個人消費の統計などをピックアップしてみた。次回は海外の動向と、バイオクリマに基づいた猛暑への心構えについて述べたい。

吉野 正敏 筑波大学名誉教授

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よしの まさとし

1928年生まれ。東京文理科大学大学院を修了。法政大学、筑波大学などの教授やハイデルベルク大学の客員教授を歴任。日本地理学会や気象影響利用研究会、日本沙漠学会の会長のほか、2001〜2010年には国際連合大学の上席学術顧問を務めた

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