KDDI、相次ぐ通信障害で漂う暗雲 原因はまだ特定できず、春商戦に悪影響も

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電気通信事業法等では、「電気通信役務の提供を停止又は品質を低下させた事故のうち、影響利用者数 3万 以上 かつ 継続時間 2時間 以上のもの等」を重大な事故と定義している。こうした事故を起こした場合、報告義務とともに、総務省が行政指導を行う可能性がある。

KDDIに対しては、今回も「総務省が行政指導を検討している」と一部で報じられている。ただ、総務省サイドは「報告を受けたのは事実だが障害の原因は外部からの攻撃による可能性などもあり、原因がはっきりしていない以上は措置を検討しようがない。今はKDDI側に原因究明を要請しているところ」(総合通信基盤局 電気通信技術システム課)としている。

総務省では通信障害の原因や再発防止策について、通信各社で情報を共有する取り組みを昨年から進めている。こうした取り組みの中で、今回の障害にどう対応していくか決めるようだ。

水を差された販促活動

KDDIは昨年9月の「iPhone5(アイフォーン5)」投入以降、番号持ち運び制度による顧客の流入が一段と拡大し、田中孝司社長も「auのネットワーク品質が評価された結果だと思う」などと好調ぶりをアピール。最近ではLTEサービスのテレビCMも本格化しており、水を差した格好だ。

一方、ソフトバンクは大規模な障害を起こしておらず、最近の第三者の調査では、同社のLTEの通信速度を評価する調査も多い。また、ドコモもIGZO液晶を搭載したシャープ製スマホが好調を維持している。KDDIが早期に原因を究明できず、障害が頻発するようならば、3月商戦期はこれまでの好調から一転して、“まさかの苦戦”に陥る可能性も否定できない。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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