まずはスナック子会社の不振だ。
2009年、カルビーは資本・業務提携を結ぶ米国ペプシコから、ジャパンフリトレーの全株式を取得した。日本国内で「ドリトス」や「マイクポップコーン」などのスナック菓子を製造販売している会社だ。そのジャパンフリトレーの売り上げが伸びず、営業利益は対計画で10億円強のマイナスとなった。
第2の"期待外れ"は北米事業だ。同事業はさやえんどうを使ったスナック菓子の「ハーベストスナップス」がヒットし、右肩上がりに成長してきた。増産体制を整えるため、2015年6月からミシシッピの新工場を稼働。同時期に既存のカリフォルニア工場の生産メンテナンスを始めた。
ところが、新工場の立ち上げにもたつき、製品の供給が一時途絶えてしまった。北米事業の営業利益は計画に10億円弱及ばなかった。
これまでカルビーは、北米で稼いだ利益を、韓国やタイなど、ほかの地域での成長投資に充ててきた。2015年には英国とフィリピン、2016年にはインドネシアとスペインへ新規参入した。
大黒柱である北米事業の回復が遅れれば、こうした新規展開の足かせになってしまう。松本会長は「北米の生産体制は整いつつある。もうしばらく待ってほしい」と語った。
中国事業は失敗のままにしない
中国事業についても質問が出た。
カルビーは2012年8月に香港上場の食品メーカー・カンシーフと伊藤忠商事との間で合弁会社を設立。以来、中国で「じゃがビー」などの自社製品を製造販売してきたものの、業績不振により2015年9月に合弁契約を解消。中国事業は失敗に終わった。
だが、「頭の中の5分の1は中国を気にしている」と話す松本会長は諦めていない。「作戦を練り直し、再来年には事業を再開したい」と語った。日本国内は少子高齢化やデフレの進行で市場成長の望みは小さい。日本の10倍以上の人口を誇り、減速しつつあるとはいえ経済成長を続ける中国を攻略せずして、カルビーの明るい未来は見出せない。
質疑応答の終盤に松本会長が、「カルビーを売上高5000億円、1兆円の企業にするため、足腰を鍛えながら積極的に投資していく」と宣言すると、会場から拍手がわき起こったという。
株主の厳しい目に見守られながら、カルビーのグローバル食品企業への挑戦が続く。
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