東京は1週間が限度。愛知で平和ボケしてます 出稼ぎ美容師、オーストラリア→東京→豊橋へ

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美容師の鈴木奈緒子さん(31歳)を紹介してくれたのは、東京で働く書籍編集者(静岡県三島市出身)だ。「車の運転が不安なので、蒲郡周辺で駅から歩いていける美容室を探している。できれば女性がいい」と話していたら、「世界一周旅行の途中(たしかエジプト)で出会った女性美容師が豊橋駅近くで働いています」と教えてくれた。「しかも、美人ですよ」とニヤリ。数分後、僕は鈴木さんが働く美容室に予約の電話を入れていた。

鈴木さんが勤務する美容室にて。ついでに襟足を整えてもらいました。

東京にも顧客を持つ「出稼ぎ」美容師

鈴木さんが豊橋の美容室で働いているのは月に3週間。残りの1週間は東京で滞在し、代官山でスペースを借りて、東京勤務時代の客や旅先で出会った知人の髪を切っている。10人ぐらい客が鈴木さんの上京を待っているという。”出稼ぎ美容師”である。

――いつから愛知と東京の往復生活をしているんですか?

帰省したのは2011年4月です。(東日本大)震災は関係ないですよ。3年間付き合った彼と1月末に別れたので、3月には2人で暮らしていた部屋をもともと引き払う予定だったんです。解散!ってね。 同時に仕事も辞めて1ヶ月ぐらい帰省して、東京に戻るつもりでした。そのままずるずると地元にいますけど…。

東京だけで働いていた頃も、固定の美容室で働くのは週末だけ、平日はフリーで髪を切っていました。美容室からは「もっとしっかり(平日も)働いてほしい」と言われていたけれど、私は一つのところに留まるのが性に合っていないんです。安定すると不安になる。しばられて、自分のペースを崩されたくないという気持ちが根底にあります。

こんな風に言っていると、「ダメな人」のレッテルを張られがちですよね。でも、1つの美容室で勤務していても社会保険に入れないことが多いので、いいことはあまりありません。忙しくてもオーナーだけが儲かる仕組みになっています。よっぽど長く勤務してがんばらないと、歩合制にはなりません。

――東京の専門学校を選んだ理由と、愛知に帰るまでのキャリアを教えてください。

高校生の頃はヘアメイク(アーティスト)になりたかったので、東京を目指しました。心配した母親からは「名古屋の学校でいいじゃないか」と言われましたが、ヘアメイクとして活躍するには東京でないと難しいし、一人暮らしにあこがれていたので、渋谷の学校を選びました。

就職活動もしましたがなかなか決まらず、卒業後の半年間は派遣でOLをして、武蔵野市の美容室で半年間働きました。代官山の美容室に移ったのは23歳のときだったかな? 2年ぐらい経ったときに、その美容室が西オーストラリア州のパースという街に出店することになりました。

単身オーストラリアへ!

――立候補したんですか?

はい。先輩たちが誰も行きたがらないので。なんで行かないの?海外で働くのカッコいいじゃん、と思って私が一人で行くことになりました。現地の美容師免許を取るために血尿が出るほど勉強しましたよ…。

営業が始まっても大変でした。(髪を切れる)スタイリストは現地採用の日本人と私の2人だけ。お客さんの4割はオーストラリア在住の日本人です。「代官山から美容師が来た!」と噂になり、車に乗り合わせて10時間もかけて来てくれるお客さんもいました。当時、私はスタイリストになるかならないかという頃だったので、期待に応えられるだけの技術はありません。でも、それは言えない。毎日がドキドキでした。

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