東京は1週間が限度。愛知で平和ボケしてます

出稼ぎ美容師、オーストラリア→東京→豊橋へ

オーストラリアで気ままな海外生活が性に合っていることに気づいた鈴木さん。一人でタイをバックパック旅行した後、オーストラリアで出会った日本人の彼と二人で世界一周の旅に出た。27歳の誕生日は旅中で迎えたという。

東南アジアから始まった旅は、中国、ネパールを経て中東とヨーロッパに至り、大西洋を渡ってニューヨークへ。アメリカ大陸を横断してロサンゼルスへ行って、ゴールの南米にたどり着いた。愛知からとてつもなく遠い場所である。

東京・代官山のカフェにて。休みの日は脱力系のファッションと表情です。

――海外生活や旅行、寂しくなったり不安になったりはしませんか。

私は日本にいるほうが現実を突きつけられて不安になります。旅は何も考えなくてもできるのがいい。男の人は世界一周旅行にも目的をつくって情報発信したがりますけど、私はそういうの苦手です。

旅をしていて自分の凡人さに改めて気づきました。国内にはまずいないような変人にたくさん出会ったので…。数十年前に世界一周旅行をスタートしたのに、インドに住みついちゃってまだ旅が終わっていない日本人とか(笑)。

――日本にいるほうが不安になるという鈴木さんが、今は豊橋という地方都市で暮らしていますね。

すぐに東京に戻るつもりだったのですが、地元でも髪を切ってほしいと頼んでくれる友だちがいるので、場所だけ借りて美容師をしばらくやっていました。その美容室のオーナーから「人手が足りないので手伝ってほしい」と頼まれて、2012年の3月まで勤務していました。辞めた後は、女友達と二人でスペイン・モロッコに行ってきました。先のことはあまり考えません。

豊橋の美容室は辞めたつもりだったのですが、帰ってきたら1ヵ月間の休暇扱いになっていたのでそのまま働き続けることにしました。でも、毎月1週間の東京行きは譲れません。ダメもとでオーナーに話したら、「いいよ」とあっさりOKしてくれました。オーナーも自由な感じの人なんです。職場に恵まれたというか、行き着くところの行き着いた感じですね。

地方から見た東京とは?

――東京と豊橋での生活を比べて、どんな感想を持っていますか。

「刺激のない地元には帰れない」とずっと思っていたんです。(豊橋に戻って)半年ぐらいはやっぱり慣れなくて、酒好きのオーナーと朝まで一緒に飲んだりしていました。

今では夜10時にもなると「早く帰らなくちゃ!」と思います。ゆっくり過ごしたい。高校を卒業してからの10年ほどで、初めて地に足がついた生活ができているかもしれません。時間にもお金にも余裕ができて、不満が何もない生活です。フワフワと気が抜けて、平和ボケしてしまいそう。

昔、地元の友だちから「東京に住んでいるなんてすごいね」と言われていました。今はその意味がわかる気がします。東京に住んでいると精神的にせかせかして疲れてしまうからです。大変ですよね。年をとったせいかな? 東京滞在は1週間が限度です。

――客にも違いを感じますか。

東京の美容室で働いていたときと比べると、愛知には経済的にゆとりのあるお客さんが多いと感じます。うちの美容室は決して安いほうではないのに、リピートしてくれるお客さんが少なくありません。1年足らずで個人的に仲良くなるお客さんもいます。

東京ではどうしても(美容室に)安さを求める傾向がありますね。オーナーによっては、(客をつなぐために)お客さんとしゃべったり、単価を上げるためにメニューを提案することをスタッフに求めてきます。でも、私は無理して話したくない。お客さんも私も元気なときはバーッとしゃべってもいいけれど、毎回続けるのは難しいからです。似合わない髪型やメニューを嘘ついて勧めることもありません。

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