「今回の実験では“幅広さ”に着目した。幅広さには、“業種”の幅広さと“エリア”の幅広さの2つの側面がある」と福島氏は話す。
関西エリアの特異性
阪急阪神グループは、小売業に加え、鉄道、流通、エンターテインメント、と多岐にわたる業種を持ち、それぞれ非常に多くのバラエティに富んだ顧客層を抱えている。エリア的にも、沿線に大消費地の梅田と神戸があり、幅広い地域にまたがっている。
「1人の人間が1つのお店だけで買い物をし、生活するわけではない。あるお店で食事をした帰りに、違う店に寄って買い物をしたりして帰る。そういった生活者のひととおりの消費を、関西ではフィールドとして実験しやすい。マーケティングから見て、非常に魅力的だ。
エリア的な幅広さの点で見ると、お客様がどう移動し、どういう行動をしていくのか、測ることができる。消費者がどう物理的に移動していくのか、あわせてマーケティングができることも大きなポイント。ドコモのモバイル推進事業にも近いし、今後広がりが出るのではないかと思った」と福島氏は話す。
東京だと、ショッピングセンターなども分散して乱立しているが、関西だとコンパクトにまとまっている分、実験の地としては適していたのだろう。
参加店舗の数も非常に多い。たとえば、代表的な施設だけでも、阪急西宮ガーデンズは約270店舗、阪急三番街は240店舗もの店舗が入っている。
そのうち、積極的にクーポンを出しているお店が、約60店舗。現在、効果が出始めていることもあり、徐々に店舗数が広がってきている。同時に、店舗側のO2Oへの協力が深まってきている、という。
「初めは、店舗側になかなか理解していただけないところがあった。だが、クーポンを特定の属性のお客様に配信してみよう、とやってみると、これまでのものより利用率が高い。少しずつだが、いいサイクルが回り始めた感がある。徐々に店舗側が前向きになってきてくれている」と福島氏は、手応えを感じている。
現在、会員登録人数は、SMART STACIA、スマートフォンアプリすべて含めると1万人以上に上るという。
過去の他のO2O事例を見ても、なかなか1万人に達するケースはない。
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