広告宣伝費頼みの「急成長」には限界がある 今知りたい「グロースハック」の基本

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「ARRRA」モデルは、これらの英単語の頭文字を並べたものです。

ユーザー数は目標ではなく、結果としてついてくるもの

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じつはグロースハックの界隈でもっとも有名なフレームワークは、最後の「ユーザーの獲得」(アクイジション)を頭にした「AARRR(アー)」モデルです。しかし私たちは国内外のグロースハックの事例を分析し、自分たちも「iQON」を運営していくなかで、「AARRR」モデルをアレンジして発展させた「ARRRA」モデルを推奨するようになりました。

というのも、継続性のないサービス、収益を生まないサービスでユーザーだけ獲得したところで成長は見込めませんし、もしユーザーにとって価値のない、満足を得られないサービスだとしたら、グロースハックでユーザー獲得を目指す意味もないからです。

例えば、皆さんが新しいレストランにたまたま入ったとき、ひどい料理を振る舞われたとします。そのレストランに再び足を運ぶことはあるでしょうか? 何かしらの特別な事情がない限り、そのレストランにまた行くことはないと思います。

それは私たちのIT業界でも同じです。初めてサービスやアプリを使っていただいたお客さまに満足いくサービスを提供できなければ、二度と使われることはありません。そのため、製品改善はまず「アクティベーション」に注力し、2回、3回とサービスを使ってもらえる状態を目指すべきだと考えています。

したがって、「ARRRA」モデルのうち、特に重要なのが①ユーザーの活性化(アクティベーション)と、②継続(リテンション)です。逆にこの2つの段階をクリアできていれば、③~⑤の段階の結果はおのずとついてきます。

「ARRRA」モデルを実施するには、各段階でのゴール(KGI: Key Goal Indicator)を設定したうえで、判断基準はすべて数値化したデータで測ります。判断基準はすべて数値化したデータで測ります。「iQON」ではおもにユーザーの行動ログによるデータ分析と、ユーザーインタビューによるアプローチで問題の発見と解決を行っています。

ポイントは、目標と現状のデータを、運営にかかわる全メンバーが確実に目にする場所に公表することです。全メンバーが数字を共有することで、結果に対して責任を持つようになる。この方法自体は昔からあるものでしょう。よく壁に売り上げ目標やデータなどを張り出している風景が見られますね。でも実は壁というのは、慣れてしまうとそんなに認識しないものではありませんか?

そこでVASILYでは、毎朝全社員が確認する社内チャット(Slack)に重要な数値を掲載しています。このように自動的に情報を受け取る仕組みを整えることも、グロースハックの考え方そのものです。

このように、柔軟な発想で、計測と分析と改善のサイクルをスピーディーに繰り返していく。それこそがグロースハック実践の本質です。IT業界の製品開発に限らず、ビジネスの方法論のひとつとして経営者やチームリーダーに知っていただきたい考え方でもあります。

宣伝広告にやみくもにお金をかけるよりも、仕組みそのものの改善でできることがあるかもしれません。しかもグロースハックの手法を使って急成長のサイクルに乗った製品・サービスは、自動的に大きく成長を続けていく可能性を内包しています。グロースハックによって、ひとつでも多くの優良な製品・サービスが世に広まることを願ってやみません。

金山 裕樹 VASILY 代表取締役 CEO

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かなやま ゆうき

ヤフー株式会社にてX BRANDなどのライフスタイルメディアの立ち上げを行った後、2008年に株式会社VASILY(ヴァシリー)を設立。VASILYのアプリ「iQON」(アイコン)はファッションアプリとして世界で唯一AppleとGoogle、両社のベストアプリに選出。会員数は200万人を超え、日本最大級の女性ファッションアプリとしてファッション感度の高い女性ユーザーに支持されている。

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