広告宣伝費頼みの「急成長」には限界がある 今知りたい「グロースハック」の基本

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スタートアップ界隈の人間にとって、「ハック」とは技術を使って創意工夫していくこと(撮影:尾形 文繁)
「グロースハック」という言葉をご存じでしょうか。ITサービス業界ではだいぶ浸透してきた概念ですが、日本ではまだなじみのない方が多いかもしれません。
グロースハックは提供する製品やサービスそのものに成長の仕組みを取り入れる新しいマーケティングの手法として、2012年前後にアメリカ西海岸で誕生しました。その後Facebook、Twitter、Dropboxといった企業が導入し多くのユーザーを獲得したことで、一気に広がっていったのです。
かつて日本のヤフーにて「X BRAND」などの新メディアを立ち上げ、現在はVASILY(ヴァシリー)代表として「iQON(アイコン)」などの運営を行う金山裕樹氏は、グロースハックを使い、宣伝費ゼロで100万人以上のユーザーを獲得したといいます。
いちばんやさしいグロースハックの教本 人気講師が教える急成長マーケティング戦略』(インプレス)の著者でもある金山氏に、これからのビジネスパーソンが知っておくべきグロースハックの本質について、話を聞きました。

どんなに自信のあるサービスでも

私が代表を務めるVASILYは、女性向けファッションアプリ「iQON」の運営において国内でいちはやくグロースハックの導入・実践を行った企業であると自負しています。

私がグロースハックを知った2012年の冬、VASILYは社員数10名程度の小さなITベンチャーであり、運営するサービスのユーザー獲得が伸び悩んでいました。

どんなに自信のあるサービスでも、ユーザーに認知されなければ使ってもらえません。またスタート時にキャンペーンなどでユーザーを集めても、継続して使ってもらえなければ尻すぼみになってしまいます。だからこそどのメーカーも宣伝広告に力を入れる。それが従来のマーケティングの王道でしょう。

VASILYには現在に至るまで、いわゆるマーケターや宣伝担当者がいません。「iQON」をリリースした当初も、特別なプレスリリースを用意したり、メディアに派手に取り上げられたりすることはなく、広告宣伝費用もありませんでした。

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