イチローの世界記録を支える緻密な自己管理 「最高の先行条件」が超一流の結果を生み出す
マイアミ・マーリンズのイチロー選手が、ピート・ローズ氏が持つ大リーグ最多安打記録の4256本を更新する、日米通算4257安打を達成しました。米国では、日本での安打数をカウントすべきか、議論があるようですが、伝説の大打者に肩を並べる偉大な記録であることは誰もが認めるところでしょう。
私の専門は、「行動科学マネジメント」と呼ばれる、米国で生まれた「行動分析学」をベースに発展した科学的なマネジメントの方法です。人の「行動」に着目し、それをコントロールすることで、目標を達成する手法なのですが、イチロー選手のパフォーマンスは、この行動科学マネジメントの視点から見ると、非常に理にかなっています。
イチロー選手の何がすごいか、挙げればきりがありませんが、私が注目するのは、大きな故障もなく試合に出続ける、淡々とヒットを打ち続ける、40歳を超えても第一線でプレーし続けるなどの「継続する力」です。拙著『まんがで身につく続ける技術』(あさ出版)でも紹介した、行動科学マネジメントのノウハウの1つである「続ける技術」から、世界一の「続け方」を分析してみましょう。
継続して結果を出す条件とは
行動科学マネジメントでは、どんな行動にも必ず理由があるとし、すべての行動は次の3つの要素「ABCモデル」から成り立っていると定義づけています。
A 先行条件(~だから=行動の直前条件)
B 行動 (する)
C 結果条件(その結果、~になる=行動の直後条件)
たとえば、「エアコンをつける」という行動であれば、
B「エアコンをつける」
C「その結果、部屋が涼しくなる」
という要素が考えられます。つまり行動とはAの「先行条件」があって発生する。つまり、ある行動が発生しやすい先行条件を整えれば、行動をコントロールでき、望む結果を手に入れられるということです。
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