エチオピアの首都アディス・アババの空港と市内を結ぶ幹線道路沿いにあるショッピングモールの1階に今年5月、カラフルでスタイリッシュなショップがオープンした。
ショップはエチオピアの靴ブランド「soleRebels(ソールレベルズ)」の同国内2店舗目となるショップだ。おしゃれに敏感なアディスの若者や同市に住む外国人が店舗に入ってきて、店内を回り、靴を手に取ったり試着したりしている。
「以前は、顧客は外国人が多かったのですが、今ではエチオピア人の顧客も増えました。とてもうれしいことです」とソールレベルズの創業者ベツレヘム・ティラフンは話す。「世界中どこにいてもオンラインで簡単に買えます。日本にも顧客はたくさんいますよ」
フェアトレードの代表的企業に
ソールレベルズのコンセプトは、使い古しの自動車のタイヤをリサイクルし、エチオピアの特産である革や、天然素材を使った手織りの布などと合わせておしゃれなサンダルや靴などのフットウェアを作る、というものだ。ベツレヘムはこのようにして作った靴を適切な価格で販売し、利益を上げ、地元エチオピアの靴職人たちに適切な給料をもたらすフェアトレードのビジネスを築き上げた。ソールレベルズは今では世界各地に店舗を持ち、オンラインでも世界中で販売するまでに大きく成長した。
このビジネスにより、ソールレベルズは2006年には世界フェアトレード機関(WFTO) から世界初の“フェアトレード・グリーン・フットウェア企業”として認定された。ベツレヘムは2011年にダボスの世界経済フォーラムの“ヤング・グローバル・リーダー”に選ばれ、2012年には米フォーブス誌の“もっとも成功しているアフリカ人女性”の1人に選ばれるなど、輝かしい功績を残している。
ベツレヘムが生まれ育ったのはアディスの中心部から車で30分の場所にある村ゼネブワーク。父は政府系機関で電気工として働いていたが、休みなしで働いてもわずかな給料しかもらえず、家計はいつも苦しく、貧しかった。家族は病院の調理室で働いていた母と弟が3人。「自分は父のように、働いても働いても貧しいというようにはなりたくない、と思って育ちました」とベツレヘムは話す。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら