日本の河川堤防は集中豪雨に耐えられない 元国交省河川局長が明かす「不適切な事情」
――利根川の取水制限について。
10%程度の取水制限が持つ意味合いは実のところ、「皆さん気をつけてね」というアナウンス効果にある。全然深刻ではない。ただ、この空梅雨が7月まで続いて明けてしまったら、8月はえらいことになる。現在は結構、きわどいところにいる。
だが、渇水の場合はどうにか凌げる。それに現在の利水計画は「10年に1回のレベルの渇水」までは耐えられる想定でなされている。そこまでのレベルならばダムから水を補給して対応可能だ。だが、そういう想定をしているということは、10年のうち残りの9年は水が余りがちだ、ということでもある。
逆に洪水が起きれば決定的なダメージは避けられない。このため、100年に1回レベルの洪水が起きても対応可能にしよう、という風に、渇水よりも洪水に対する警戒意識の方を高めにしている。
過去のデータは通用しない
――確かに近年の気候変動の落差は激しい。一転して6月下旬に豪雨が起きる可能性もある?
本当にひと晩で状況は変わってしまう。いつ、どこで何が起きるか予測できない。予測できないということは、気象が確実に凶暴化しているということだ。われわれの過去のデータが効かなくなっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら