その事実に気付いた企業の多くが、「売り手市場における採用対策」を狙いとして、インターンシップの導入に踏み切ったわけだが、中長期の実践型インターンシップを提供できる企業が少なかったために、結果として比較的楽に開催できる「1dayインターンシップ」の導入が急速に広まったのである。ここで、ひとつ注意しなければならない意見がある。
「1day形式は多くの人数を受け入れることができるので、体験者の6%しか内定に結びつかないとしても、結果的に多くの人数が内定・採用に至るのではないか」
という意見だ。まさにそういった発想があったがために、企業の多くは中長期のインターンシップを捨て、お手軽な「1day」形式のインターンシップ導入に走ったとも言える。
しかし、1day形式で採用に成功している企業を詳細に見ていくと、複数のタイプの1dayインターンシップを実施するなどして、採用まで1ヶ月に一度程度の頻度で何らかの接触を学生と持っている企業が大半なのだ。つまり、1dayという形式を取ってはいるが、結果的には中長期インターンシップと同程度の期間、特定の学生と接触している計算になる。
2007年はそういった事実を知らないままに、形だけ1dayインターンシップを実施した企業が増えた年となった。これが、私が2007年のインターンシップを「発展途上、未熟なバブル」と称する理由だ。
本来、インターンシップは、学生と企業の相互理解を促進し、ミスマッチを防ぐと共に、学生にとっても企業にとっても成長を促進する最高の学びの機会だ。企業にとっては今まで採用できなかったタイプの学生、優秀な学生を採用する機会でもある。
喜ばしいことに、2007年はインターンシップが急激に普及した年となった。
しかし、形だけの導入も多かったために、多くの成功事例と、より多くの失敗事例が生まれる年になるだろう。それらの経験が2008年の採用活動に活かされ、企業と学生の相互理解に繋がるより価値のあるインターンシップが生まれるきっかけとなってくれることを切に願う。
未だ未熟。未だ発展途上。
それが日本のインターンシップの現状ではある。
しかし、相互理解を促進し、ミスマッチを防ぐ新たな採用形態として、多いに可能性を秘めた手法であることは間違いないのだから、せっかく生まれたこの芽を大事に育てていきたい。
次回は、ますます重要性を増している、「学生にとってのインターンシップ体験」について述べたいと思う。
※「第25回 ワークス大卒求人倍率調査(2009年卒)」より
http://www.recruit.jp/library/job/J20080422/docfile.pdf
慶應義塾大学在籍中にジョブウェブと出会い、インターンシップ生として働き始める。
大学卒業と同時に(株)日本エル・シー・エーに就職。経営コンサルタントとして、学校法人のコンサルティングに取り組んだことをきっかけに、2003年3月に(株)ジョブウェブに転職。
現在、新卒事業部の事業部長として、企業の採用活動のコンサルティングや学生を対象とした各種リサーチ、教育研修コンテンツの作成に取り組む。
1977年生まれ。富山県出身。
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