人手不足かつ低賃金…ブラック職場の新局面 「新人のほうがベテランより時給高い」の背景
一方で、新たな歪みも生じているようだ。同プロジェクトによると、既存バイトの時給が上がらないのに対し、近年、最低賃金の引き上げや人手不足から、募集時の時給については上昇傾向にあるそうだ。結果として、新人のほうがベテランより時給が高い「逆転現象」が起こっているという。
会見にはブラックバイトで働く学生も出席し、実態を打ち明けた。
千葉県の大学1年生の女性は、高校時代から地元のコンビニでアルバイトしている。仕事を始めてから半年以上もの間、時給は最低賃金を下回っていたという。ほかにも、休憩時間が実質ゼロといった問題があった。
これに対し、佐々木弁護士は、時給の逆転現象を念頭に「人手不足で『来て欲しい人』には、お金を出して、『来たい人』『すでにいる人』には出さない。闇が深い」。
アルバイトだから黙っているというのは損
一方、東京都の大学院生(修士課程2年)の女性は、都内のビアホールで働いている。店ではヨーロッパの民族衣装が制服で、着替えに10分ほどかかるにもかかわらず、更衣時間は労働時間外とされていた。過去の裁判例では、制服の着用が義務付けられており、着替え場所が指定されていれば、更衣時間も労働時間になるとされている。
また、賃金は15分単位でしか支払われておらず、業務後の研修会も労働時間に含まれていなかった。女性は2年半ほど働いているが、正社員の残業時間も長く、「この職場ってやっぱり問題なんだなと感じることが多くなった」という。
2人は首都圏青年ユニオンを通じて、団体交渉をおこない、待遇の改善につなげたそうだ。佐々木弁護士は「言えば変わる事例は結構ある。アルバイトだから黙っているというのは、損につながる」と話していた。
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