埼玉の高校生が「労働協約」で対抗できた理屈 それはブラックバイトにも屈しない権利だ

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無理なシフトやノルマが学生バイトを悩ませます(写真:xiangtao / PIXTA)

長時間労働をはじめとする過酷な労働環境、待遇に見合わない過重な責任や過大なノルマ――。学生アルバイトにもかかわらず、学業に支障をきたすほどの働き方を強いられる「ブラックバイト」が大きな問題になっている。早稲田大学はこの春の新入生に「ブラックバイト対処マニュアル」を配布。宮城労働局や鳥取労働局などで相談窓口が設置されるなど、社会の関心も高まっている。

学生という立場でブラックバイトに対抗するのはなかなか至難の業のようにも思える。雇い主の企業と比べると身分の弱い学生が、つい泣き寝入りしてしまうケースも後を絶たないからだ。だが、高校生や大学生のアルバイトという身分であっても企業に対抗する方法はある。

3月中旬に埼玉県内のコンビニエンスストアでアルバイトとして働く高校生が、労働組合のブラックバイトユニオンを通じて会社と団体交渉をし、「賃金支払いは1分単位」とすることなどを盛り込んだ労働協約を結んだことが話題になった。この労働組合や労働協約という枠組みを活用するのが、学生がブラックバイトに対抗する数少ない手段の一つだ。

労働協約は労働契約にも勝る

労働協約とは、労働組合と使用者が団体交渉をおこなって合意に達した場合に作成される文書であり、法律上、特別な効力を与えられている。

「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる」(労働組合法第14条)

労働協約が労働組合と使用者との間で結ばれた場合、労働協約が優先され、労働協約より下回る労働条件等が定められた労働契約の部分は無効となる。

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