相対的に賃金が安く、期間を区切って雇えることからさまざまな企業で社員の非正規化が進んでいる。総務省の労働力調査によれば、非正規で働く人は昨年12月で2038万人。全雇用者の38%と10年前の30%前後から増えている。
東洋経済オンラインは昨年に続き、上場企業で働く非正規社員の実態を調査した。その実態を探るカギの一つが、上場企業が発行する有価証券報告書(有報)にある。有報にはいわゆる「非正規社員」が「臨時従業員」として規定され、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人員を開示することが義務付けられている。
今回の調査では昨年から調査対象数を増やし、一般事業会社だけではなく、銀行、証券、生保、損保などの金融業界も加えた。第1弾として、「非正社員が多いトップ500社」(2月25日配信)を掲載したが、第2弾として非正社員比率の高い上位500社を紹介したい。
各企業の状況や人事戦略が透けて見える
有報にはいわゆる「非正規社員」が「臨時従業員」として規定され、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人数を開示することが義務付けられている。そこから、上場企業の非正規社員比率を割り出して、上位500社をランキングした。従業員数、非正社員比率、5年前の増減率も併載したので参考にしていただきたい。5年前との変化を追うことで、各企業が置かれた状況や人事戦略の一端が透けて見えてくる。
ランキングの上位には、小売業とサービス業が占める結果となった。
1位は、デザイン性の高い商品ラインナップで人気を集めている、100円ショップのセリア。2015年3月期の当期純利益は67億円を上回り、過去最高益を記録した。セリアは業績好調を背景に、全国への新規の出店を加速している。これに合わせる形で、この5年で雇用者数を大きく増加させた。
5年前と比べると、臨時従業員数は1897人増加した。このペースは正社員の増加ペースを上回るので、5年前に比べると、1%ほど非正規比率も上昇している。2015年3月期時点では、全体の95%が非正規社員を占めている。
2位の東京個別指導学院は小中高生向けの個別指導塾を運営する会社。同社も、積極的な出校で業績を伸ばしてきた。ランキング上位には「TOMAS」を運営するリソー教育(ランキング12位)、「城南コベッツ」を運営する城南進学研究社(ランキング17位)など個別指導塾を運営する会社も目立つ。一人当たりの指導に人員が必要になる個別指導塾ほど、大学生などのアルバイト講師に依存している実態が読み取れる。
安倍政権の一億総活躍国民会議で、同一労働同一賃金が議論されている。本記事では、各社における正社員と非正社員の賃金差については調査していないが、上位にランクインしている非正社員への依存度が高い会社では、もし、同一労働同一賃金という枠組みが進められると、人件費の上昇に悩まされる可能性がありそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら