総務省の労働力調査によると安倍政権が発足した2012年に4.3%だった平均失業率は、2015年に3.4%まで低下した。一方、2015年の正社員数は3304万人と3年前から36万人減。逆にパート、アルバイトや派遣など非正規従業員数は2015年に1980万人と2012年比で167万人増加した。雇用の改善によって大きく増えたのは非正規労働者といえる。
では、実際に非正社員を増やしているのは、どんな会社なのか。東洋経済オンラインは昨年に続き、上場企業で働く非正社員の実態を調査した。これまで「最新!これが『非正社員の多い』トップ500社」(2月22日配信)、「『非正社員への依存度が大きい』トップ500社」(2月26日配信)を紹介してきたが、第3弾として5年前と比べて非正社員数を大きく増やした上位500社のランキングをお届けしよう。
企業別の雇用の増加をみるために、2009年10月期~2010年9月期と2014年10月期~2015年9月期の有価証券報告書に記載されている、従業員数と臨時従業員数を比較し、各社がどの程度雇用を増やしたかを調べた。
有報にはいわゆる「非正社員」が「臨時従業員」として規定され、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人員を開示することが義務付けられている。今回の調査では昨年から調査対象数を増やし、一般事業会社だけではなく、銀行、証券、生保、損保などの金融業界も加えた。
上位は事業を積極的に拡大する大企業が目立つ
ランキング上位はいずれも規模が大きく、事業を積極的に拡大させている成長企業が並んだ。非正社員だけを極端に増加させている例は少なく、正社員の増加も目立つ。非正社員ともに増加させている。ただしこれらのデータは連結の人数のため、グローバルに展開する会社であれば、必ずしも国内の従業員数のみを集計したものではない点には留意が必要だ。
ランキングの1位はイオン。5年前から非正社員は7.4万人増え、その増加率は42%となった。従業員数も同62%増と非正社員よりも増加率は大きい。スーパー大手のダイエーやマルエツの子会社化のほか、ドラッグストア大手のウエルシアホールディングスの子会社化など、相次いで行ったM&Aによるところも大きい。地方経済にとって大きな雇用の受け皿となっている。
2位のトヨタ自動車5年前と比べると当期純利益を約2兆円も増やしており、それに合わせて雇用者数も増加。非正社員は2万6688人増と同44%増加した。
一方で、15位の日立製作所や37位の大京、49位のタムロンなどのように正社員を減らす一方で、非正社員を大きく増やしている逆のパターンもある。
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