パート、アルバイトや派遣、期間従業員など非正規労働者の数が高止まりしている。総務省の労働力調査によれば、非正規で働く人は昨年12月で2038万人。全雇用者の38%と10年前の30%前後から大きく増えている。
一方で、さまざまな事情によって非正社員を減らしている会社もある。東洋経済オンラインは昨年に続き、上場企業で働く非正社員の実態を調査した。これまで「最新!これが『非正社員の多い』トップ500社」(2月22日配信)、「『非正社員への依存度が大きい』トップ500社」(2月26日配信)「『非正社員数を増やした』500社ランキング」(3月4日配信)を紹介してきたが、第4弾として5年前と比べて非正社員数を大きく減らした上位300社のランキングをお届けしよう。
企業別の雇用の減少をみるために、2009年10月期~2010年9月期と2014年10月期~2015年9月期の有価証券報告書に記載されている、従業員数と臨時従業員数を比較し、各社がどの程度雇用を減らしたかを調べた。非正社員の減少数、減少率に併せて従業員の増減率や非正社員比率などの数字も併載した。
むしろ、正社員を増やしている会社も上位に
有報にはいわゆる「非正社員」が「臨時従業員」として規定され、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人員を開示することが義務付けられている。今回の調査では昨年から調査対象数を増やし、一般事業会社だけではなく、銀行、証券、生保、損保などの金融業界も加えた。
1位は日本マクドナルドホールディングス。5年前と比べると約1万人の非正社員が減っている。減少率は42%。この要因として大きいのは直営店をフランチャイズ(FC)店へと転換してきたことだろう。非正規社員の比率で見れば依存度は大きく変化していない。ただ、最近のマクドナルドは業績不振から店舗の大量閉鎖を進めており、グループ全体の人員は縮小傾向にある。
非正社員を増やした会社と減らした会社のランキングを比べれば、企業の規模拡大傾向や従業員数の増減へのスタンスの違いを確かめることができる。就活を始める学生にとっても、目指している業界の企業が人を増やしているか、減らしているかというスタンスの違いが、就職先選びの参考になりえる。
FCへの転換や分社化など特殊な事情を除いて非正社員、従業員ともに減っている会社の中には、業績不振からのリストラを進めている会社もある。一方で、非正社員を積極的に減らし、むしろ正社員数を増加させている会社も多い。地域限定や短時間勤務正社員などの新しい雇用形態も広がってきつつある。若年人口の減少によって働き手が減り、人材獲得競争が熾烈になる中で、待遇面などで魅力のある職場をつくって長期雇用を前提に雇用していくという前向きな姿勢といえるだろう。
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