アルバイト・パートや派遣社員、期間従業員など、いわゆる「非正規労働者」は日本に2000万人超(総務省労働力調査)。10年前は全労働者に占める割合が3割前後だったが、直近は約38%まで高まっている。
東洋経済オンラインは上場企業(金融を除く)の最新本決算(2013年11月~2014年10月期)と5年前の有価証券報告書データなどから、非正規社員にかかわる3つのランキングを作成。第1弾を「『非正規社員をたくさん雇う』トップ500社」(2015年2月25日配信)第2弾を「非正規社員の『比率が高い』500社ランキング」(同26日配信)として紹介したが、最後の第3弾として「非正規社員を増やした会社」のランキングをお届けしよう。
有報にはいわゆる「非正規社員」が「臨時従業員」として規定され、その数が全従業員数の1割以上を占める場合、年間の平均人数を開示することが義務付けられている。最新本決算と5年前データを比較して、上場企業の非正規社員の増加数を調べた。従業員(正社員)の増減や非正規社員比率なども併載した。
イオンは3万8000人、NTTは約3万人増
「『非正規社員をたくさん雇う』トップ500社」のランキングでも1位だったイオンは、非正規社員の増加数でもトップ。イオンは相次ぐM&Aや大型モールを全国に開店しているため、雇用力創出力も高い。臨時従業員はこの5年で3万8335人増えている。
2位はNTT。約3万人増だ。この5年間、NTTグループは海外展開の強化を打ち出し、持ち株会社は10年10月に南アフリカのIT大手ディメンションデータ(従業員2万3000人)などを買収。NTTデータも米国キーン社をはじめ、欧米で大型買収を連発した。NTTコミュニケーションズもネットワークやデータセンター事業者を中心に積極的に買収を仕掛けている。買収によって社員数が大幅に増加する中で、非正規雇用の社員も増加傾向にあるようだ。
イオンやNTTのように、上位に並んだ企業はM&Aや積極的な事業拡大に伴う陣容拡大を進めたケースが多い。
3位のゼンショーホールディングスは正社員の増加が1354人に対し、非正規社員の増加数は1万4406人。非正規社員に依存しすぎた面があったためか、出店のペースに人手が追いつかず、主力の牛丼チェーン「すき家」で一時休業する店舗が相次いだことは記憶に新しい。
上位企業の多くは程度の差はあれど、従業員数も同時に増えているケースが多いが、逆のパターンもある。たとえば、14位の日立製作所は臨時従業員数は6291人増。一方で、 グループの事業構造を見直したことで、この5年間で正社員数は4万1071人の減少となっている。
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