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埼玉の高校生が「労働協約」で対抗できた理屈 それはブラックバイトにも屈しない権利だ

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要するに、労働者が給料などの待遇について使用者と対等に交渉するために団体を組織して、数の力を借りて交渉する権利が憲法上認められている。そもそも憲法の規定を受けて労働組合法(労組法)という法律が存在しており、労組法は、労働組合の様々な活動を保障している。

労働組合法第1条第1項は法の目的を以下のように規定している。

「1 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出すること、その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする」

このような労働組合に加入することによって、たとえ職場に労働組合員が自分以外に一人もいなくても加入した労働組合を通じて団体交渉を申し入れることが可能となる。また、労働組合に加入しておくと、労働組合員であることを理由とする不利益な取り扱いをすることも「不当労働行為」として法的に禁止される。

アルバイトを含め多くの労働者は、給与や労働時間などの労働条件に不満があっても、なかなか会社に対して改善を要求することはできないのが実情だ。労働者個人だけだと弁護士が代理人として交渉を申し入れても、これに応じるかどうかは会社側の自由。無視しても違法ではない。

労働組合との団体交渉を会社は拒否できない

しかし、ひとたび労働組合が登場すると状況は一変する。労働組合に加入することによって、労働者が一人では上げ にくかった会社に対する声を労働組合という集団(「数」)の力によって上げやすくなる。会社(使用者)は、労働組合から交渉(団体交渉)を申し入れられたらこれを拒否することはできない。

正当な理由なく団体交渉を拒否すると「不当労働行為」(団交拒否)として、法律上、一定の制裁を受けたり、労働委員会という独立行政法人から団交に応じるよう命令を受けたりすることになる。 

そもそも、法律は、労働者と使用者が対等ではなく圧倒的に労働者が劣勢であることから労働組合の活動を様々な形で保障している。労働組合に加入して、労働組合を通じて団体交渉をして、労働条件を改善していくメリットは大きい。学生アルバイトも労働者である以上、労働組合に加入してはじめて使用者と対等な立場で交渉ができるのである。

学生アルバイトだからといって泣き寝入りする必要は全くない。労働組合は労働者の権利を保障するために認められている最強の手段だ。学生アルバイトであっても、労働組合をはじめとする憲法・法律で認められた手段をフル活用すれば労働者としての権利が守られる。

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