埼玉の高校生が「労働協約」で対抗できた理屈 それはブラックバイトにも屈しない権利だ

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また、労働協約は、労働協約を締結した労働組合の組合員のみに適用されるのが原則だが、その職場で労働組合員が一定多数を占めるようになった場合は労働組合に加入していない労働者にも適用されることになっている。

(基準の効力)
労働組合法 第16条 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定めがない部分についても、同様とする。
(一般的拘束力)
同第17条  一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。

一方、労働組合というと大きな企業ごとに存在する企業内組合をイメージする人が多いかもしれない。ただ、最近では職場に労働組合がないアルバイトや派遣などの非正規労働者であっても加入できる労働組合(一般に「合同労組」などと呼ばれ、「●●ユニオン」などの名称で活動している例が多い)が増えている。

学生バイトも労働組合に加入できる労働者だ

高校生や大学生のアルバイト店員でも労働組合に加入できるのかといえば、彼ら彼女らも法律上立派な労働者(「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう」労働組合法3条)と法律で認められており、労働組合を自分たちで結成したり、既存の労働組合に加入したりすることはもちろん可能だ。

そもそも労働組合とは「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」(労働組合法2条)

労働者が労働組合を組織して、使用者と団体交渉をしたり、ストライキなどの団体行動をする権利は、憲法28条によって保障されている。

憲法28 条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と規定し、団結権、団体交渉権、団体行動権(いわゆる「労働三権」)を憲法上の権利として保障している。

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