彼らやそのほかのNPO、地元の団体などの活躍で、石巻はかなり早い時期からボランティアを受け入れる体制が整い、支援活動が滞りなく進んだ被災地支援の“成功モデル”とも言われた。
オンザロードは、津波で汚れた食器の洗浄から店舗の泥かき、内装の修復など店舗再生を支援していた。お店がきれいに整った後、皆考えたのは、「これから、どうやって商売を再開するか」だ。
たとえば操業停止中だった水産加工店は、事業を再開しても、すでに契約スーパーは他に仕入れルートを見つけていて、販路は断たれていた。多くの事業者が「何か商売を始める糸口はないものか」と必死に探し求めた。
「働きたい、仕事がしたい」。「復興デパートメント」の構想は、そんな生産者の声に応える形で、じわじわ固まっていった。
話を突きつめていくと、須永と僕、周囲の協力者たちの考えはおおよそ近かった。サイトの名称は、魚屋、Tシャツ屋、雑貨屋とバラエティに富んでいるので、「復興のデパートだよね」と自然に決まっていった。
強力な助っ人は、20代の元気娘
被災地の商品をネットで売って、全国に販売する。そんなプロジェクトを進めるに当たって、懸念事項は山ほどあった。
たとえば、東北沿岸部はネット利用者の割合が低い地域だ。また現地の声からも、東北地方の生産者はITがあまり得意でない場合が多いこともわかっていた。
「そもそも、売り物があるんだろうか?」
「本当にできるだろうか?」
という思いがよぎり、不安になることもあった。
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