安倍総裁、日銀操縦法を伝授します 「アベノミクス」成功の秘訣とは?

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金融政策と深く関連する為替政策については、円安は85円程度までなら許容範囲だが、今後の一番の波乱要因だ。

日本経済にリスクがあるとすれば、極端な円安だ。円安のトレンドが確立すれば、日本売りしたほうが儲かるので、円と同時に日本国債が売り込まれ、国内投資家が資本逃避を進める。この国債暴落リスクを高くしないためには、悪い円安の進行に歯止めをかけるべきで、金融緩和をさらに加速するならば、もう一つの円安要因、経常収支の悪化を止め、改善することが必要だ。

そのためには、貿易赤字の削減を図るべきで、原発再稼動を迅速に積極的に行う必要がある。実際の再稼動は、参議院選挙後でもいいかもしれないが、再稼動のためのプランは直ちに立案実行するべきで、そのためにも、民主党政権以上の安全対策を行うことが前提となるだろう。補正予算による公共事業は、これを最優先するべきだ。

これで、強力な金融緩和とのバランスがとれ、悪い円安、海外資金逃避、国債暴落、銀行危機、という最悪のシナリオを回避することに全力を挙げてもらいたい。これは、自民党が望む公共事業の拡大に必要なことで、安定的な国債発行が実現することにより、可能となるのだ。

唯一、安倍政権が死守すべきことは、長期国債の名目金利の上昇を防止することだ。これが株価上昇よりもGDP成長率上昇よりも、何よりも重要なことだ。

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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