安倍政権誕生で為替はどう動くか? 市場動向を読む(為替)

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総選挙は自民党の圧勝に終わり、12月17日早朝から円は売られ、ドル円相場は3月につけた1ドル=84.18円を上回り、2011年4月以来の84.48円のドル高円安となった。ユーロ円相場は本年3月以来の1ユーロ=111.29円までユーロが上昇した。

市場を上手く味方に付け自民党圧勝

今回の選挙は安倍自民党総裁の戦略勝ちとも言えるかもしれない。「デフレ脱却・円安是正」に焦点を当てて、日銀に追加緩和を行うよう、プレッシャーをかけた結果、ヘッジファンド等の海外投資家がこれに反応し、積極的な円売り・株買いを行った。海外勢は、今度こそ安倍政権下で日本の失われた20年が終了し、日本経済がデフレから脱却するのではないかとの期待を強めているようである。

実際、海外投資家とのミーティングを通じても、日本の変化に対する期待は相当なものであると実感することができ、過去2カ月間の円売り圧力は当社の予想を大幅に上回る強い動きとなった。当社は13年の円は主要通貨の中でも、弱い通貨になると予想していたが、もっとも弱い米ドルに対してもここまで弱くなるとは予想していなかった。

安倍自民党総裁は開票速報特別番組の中のインタビューで、選挙期間中に印象に残った有権者の声は何かと問われて、「景気を良くしてくれ、給料を上げてくれ、という声が強かった」と答えた。

今回の総選挙が自民党の圧勝に終わったのは、日銀にさらに積極的な金融緩和を求める姿勢や発言を続けることにより、市場を味方に付け、為替を円安方向に、株価を上昇に導いた、安倍自民党総裁に対する期待だったと言えるかもしれない。市場の動きを上手く利用した勝利と言うこともできるだろう。

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