英米でも中央銀行の役割を巡る論争 新政権から政策変更迫られる日銀(日銀ウォッチャー)

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今回の衆議院選挙では、金融政策が主要な争点の1つになっている。

民主党の野田首相は、インフレ目標は1%が現実的と主張し、10月に政府と日本銀行が発表した、デフレ脱却のための共同声明に沿った金融政策に関する見解を示していた。同声明は、デフレはマネタリーな現象だけでなく、日本経済が抱える構造問題から生じている部分も大きいため、デフレ脱却のためには日銀と政府が役割を半分ずつ負うべきだとしていた。

一方、安倍晋三自民党総裁は、日本経済を早期に回復させるために、2%以上のインフレ目標や無制限の資金供給などの「大胆な金融政策」を日銀に求めてきた。
 野田氏と安倍氏の考えの差は、国債価格の安定に対する配慮の差から生じている面もある。前者は国債価格を暴落させずにインフレ予想を引き上げていくという狭いパスを通っていくことを日銀に求めているといえる。後者は、もし大胆な金融緩和策で国債価格が急落したら、そのときは日銀がオペで買い支えていけばよい、と考えているのではないかと推測される。

ロンドンでは新総裁が名目GDPターゲットを提唱

筆者は現在、ロンドンに短期滞在しているのだが、こちらでも中央銀行の役割をめぐる議論が大きな話題になっている。来年7月からイングランド銀行の総裁に就任するカナダ人、マーク・カーニー氏(現カナダ銀行総裁)が今週トロントで、ゼロ金利政策を行っている中央銀行はインフレ目標より名目GDPを目標とする政策のほうがよいのではないか、との見解を披露したからである。

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