英米でも中央銀行の役割を巡る論争

新政権から政策変更迫られる日銀(日銀ウォッチャー)

それに対して、イングランド銀行のチーフエコノミスト、スペンサー・デール氏は、名目GDPターゲットは中央銀行の信認を失わせるおそれがあると強く反発している。イギリスのメディアがそれらを「対立」としてあおっている面もあるのだが、オズボーン英財務相はカーニー氏の考えに共鳴しているため、彼をイングランド銀行総裁に招聘したのではないかと報じられている。

英政府は財政再建のための大胆な歳出カットを今後も推し進めていくつもりでいる。それは英国経済の成長率を低下させる。オズボーン財務相はイングランド銀行に、インフレ抑制よりも景気浮揚策を望んでいる模様だ。

英国のインフレ目標は形骸化

もっとも、インフレ制御に対するイングランド銀行の信認はすでにぐらついている。英政府はイングランド銀行に2%というインフレ目標を課してきた(英政府は、目標インフレ率を決定する際に、どの数値が英国経済の発展にとって望ましいかを専門家であるイングランド銀行に相談してきており、一方的に命じているわけでない)。

しかし、英国のインフレ率は、2010年から目標値を大幅に上回る状態が続き、11年11月には5.2%に達した。インフレ率が目標から1%を超えて乖離すると、イングランド銀行総裁は四半期に一度、財務相に釈明の公開書簡を送らなければならない。

10年2月から12年2月まで、その手紙は送られ続け、財務相はそれを責めるわけでもなく、許容し続けてきた。イギリスにおけるインフレ目標は形骸化している。最近ようやくインフレ率は2%台に低下したが、まもなく再び3%台へ上昇し、書簡がまた必要になると市場では予想されている。 

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