韓国大慌て、「製造業の凋落が止まらない!」 かつての危機より事態は深刻だ

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当時の警告は、現実のものとなっている。造船業では造船所のドックが空いている状況は、以前からは想像もできなかったことだ。韓国の製造業は、2000年代初頭に世界最高水準のの技術力を誇った。1999年、世界の造船受注量で韓国は40.9%を占め、2位の日本(30.0%)を突き放していた。

この当時も、一部からは高付加価値のある船舶をつくる必要性を力説し、中国を警戒すべきという指摘が出ていた。ところが、仕事が増えてうれしい悲鳴を上げていた状況に、そんな警告は届かなかったようだ。結局、韓国造船業は本業である船舶より海洋プラントに目を向けざるを得ず、大規模な損失を招く危機に直面した。

海運業も悲惨な状態に

海運業も同様だ。2008年には海運会社が定める運賃の基準となる「バルチック海運指数」(BDI)が上昇し、1万1000を記録した、海運会社は好景気に酔い、高い価格で船を借りた。最近話題となっている高価格リース料の背景となった。海運会社は儲けたカネで省エネルギーの船舶などを発注して競争力を強化するよりは、ただカネを払って船を借りるほうを選択した。もちろん、政府もこんな判断に重要な役割を果たしたのは否定できない事実だ。

海運と造船業の構造調整は、密接な関係のある鉄鋼業にも大きな影響を与えそうだ。鉄鋼の販売価格は上がらず、費用だけが増えている。鉄鋼価格が上がらない、あるいは需要が増えなければ、収益性はさらに悪化する。ゴールドマン・サックスの分析では、韓国の鉄鋼設備稼働率は、現在の80%台から2018年には78%に下がるという。

需要が減少しているため、鉄鋼会社は日本や中国のライバル会社と生き残りをかけた競争が繰り広げられている。日本最大の鉄鋼会社である新日鉄住金は、日本4位の鉄鋼会社である日新製鋼と合併した。中国も、現在12億トンに達する中国の鉄鋼生産能力を、5年以内で10 %減らす計画を発表した。

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