たとえば、「ユニクロ」はタオバオのBtoCのほうに出店していますが、CtoCのほうには、ユニクロの写真だけ掲載して、大学生や主婦がまがい物を売っている店がたくさんあります。
有名ブランドの場合、まがい物の店が1000社ぐらい出てきます。すると、きっちり対策をしているブランドはタオバオと組んでどうするかというと、この1000社の選別に入ります。明らかに粗悪なまがい物を売っている店は潰しにかかる。しかし、まがい物でも良質な商品を売っている店は、自社ブランドの取引先にしようとするのです。
「どこで買い付けてくるか知らないが、苦労して仕入れているんだろう。ウチなら55%の委託料で卸させてやる。その代わり、価格はこのぐらいまでにしておけ」といった取引を平気でやるのです。清濁の清と濁を整理して、飲める泥水は飲み込み、飲めない泥水は捨てます。
同じような商品でタオバオという同じプラットフォームで勝負したときには、やはりBtoCのほうの本物の魅力にはかないません。そうやってBtoCの店が結果としてプラットフォーム全体をコントロールしている面があります。もっとも日本発のブランドは、この中国風「清濁併せ飲む」文化は受け付けないのか、残念ながらネットでは苦戦しているケースが多いようです。
2015年には世界一のEコマース市場に
ネットショッピングがあまりに当たり前の中国に、今後、外資系企業が参入する場合は、いかにネットを活用して中国の“資本主義市場”に切り込むかが重要でしょう。
たとえば、「フォーエバー21」が12年、中国に初参入しましたが、最初に昨年末にネット上に出店しました。どういう属性の人たちがどういう商品に反応を示すのかデータを取りにいったわけです。その後で、北京と上海にリアルの店をオープンしました。アパレルの出店で、先にネットから参入したという会社は少なくとも日本では聞いたことがありません。
またウォルマートは中国でリアルの店の出店スピードは落としていますが、代わりに中国最大の総合Eコマースサイト「1号店」を自社傘下に収めています。
ボストン コンサルティング グループが1年以上前に、「2015年に中国は世界一のEコマース市場になる」と予測しました。私は当時、「ウソだろう?」と思いましたが、この調子では本当にそうなるかもしれません。GDPでは米国を追い抜くのに、あと10年はかかると予測されていますが、Eコマース市場は先に世界一になるでしょう。
ネットの世界では、「winner-takes-all(勝者がすべてを得る)」というのが常識です。中国の市場はあまり大きすぎて、これまで一強がすべてをカバーすることは困難でした。インターネットショッピングモールの三強は、タオバオ、360buy(京東)、QQですが、プレーヤーがみんな未熟すぎて成長途上でした。
しかし、今年の光棍節のイベントで、winnerはタオバオだという兆しが見えたと僕たちは感じています。少なくとも、Eコマースのプラットフォームという領域ではそうです。積極的なキャンペーン、参加者の質の向上、物流システムの改善などの努力によって、タオバオの優勢が明らかになりました。
(構成:上田真緒)
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