タオバオは1日で新宿伊勢丹1年分を売る

中国のEコーマースは日本とケタ違い

わが社の社員も買い物していて、注文した私物がどんどん会社に届きます。上海の場合、朝に注文しておくと、その日の午後には届くので、帰宅時に持って帰ることができます。帰りにどこか店に寄って買い物して帰るよりも、ずっと楽なのです。

共働き夫婦の場合、注文したものを自宅で受け取るのも大変ですから、会社宛に届けさせるケースが多いのです。私も就業時間中のネットショッピングについてうるさく言いません。それぐらい、ネットショッピングが自然なことになっています。

こうしたネットショッピングの急成長を支えているものの1つに、物流システムへの信頼性があります。日本でもネットショッピングをすると、商品の配送記録を示してくれるサービスはありますが、中国ではその情報量が非常に多いのです。

1つの商品を届けてもらうのに、「今、商品をクリックされました」「銀行口座におカネがあることを確認できました」「倉庫で配送の準備が整いました」「スタンプが貼られました」「トラックに乗りました」「近くのデポまで届きました」と、逐一商品の現状を教えてくれます。

なぜこんなに細かいかというと、中国ではこれまでEコマースが信用されていなかったからでしょう。届いた商品が期待と全く違ってもおカネは返金されないとか、そもそも商品が届かないといったことがかつてはあったのだと聞きます。しかし、信用されていないところから、今のように信用されるところまで持っていく改善のスピードがすさまじく速い。

2年前の常識は非常識

昨年の光棍節の日、タオバオの売上額は今年の4分の1でしたが、それでも売れすぎて大混乱に陥りました。注文した商品が届かなかったり、間違った商品が届いたりというミスが頻発しました。

その様子を見ていた私は、てっきり今年は控え目にイベントをするのかと思っていたのですが、まったくそんな気配はありませんでした。それどころか、昨年以上にお祭りムードをあおり、物流やIT、決済システムに多大な投資をして改善しました。

その結果、今年は昨年の4倍の額を売り上げながら、大きな混乱もなく、商品が確実に届きました。もちろん今でも日本の水準からみれば遅配なども起こっているわけですが、「learning by doing」の精神でどんどん先に進んでいく、という驚くべきスピード感があります。

つくづく思うのは、中国において2年前に言われていたことは全然信用できないということです。同じ会社でも、2年も経てばまったく別の会社に変貌する。2年前の常識はまったくの非常識であり、「昔」の専門家の話にだまされてはいけません。

タオバオも、以前は「安かろう、悪かろう」だとか、まがい物ばかりだとか、その辺で拾ってきた横流し品を売っているとか言われていました。そのイメージも急激に変わっています。

その証拠に、タオバオでの購入平均単価の上昇が挙げられます。過去3年ほどを見ると、売上額トップ10にランクインしている店の平均単価が毎年20%以上、上がっています。さすがにインフレはそのスピードまでは起こっていないので、より高い商品を消費者がタオバオで買っているということです。つまり、信用度が上がっているのです。

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