未婚男性を追い込む「3%説」に隠されたウソ まことしやかな数字に踊らされていない?

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3%説は、論者によって数値の算出方法に違いがあるのですが、ここでは早い時期に3%説を唱えた『週刊SPA!』2011年12月27日号の記事「なぜか[結婚できない男]の意外な欠点」の算出方法を見てみましょう(なお、今回の記事と『週刊SPA!』の記事では未婚率の数値が微妙に異なっていますが、これは国勢調査の数値が修正されたためです)。

(1)2005年国勢調査によれば、35~39歳の男性の未婚率(この年齢層の全男性のうち未婚の人の割合)は31.2%でした。ちなみに国勢調査では、「結婚経験があるが現在独身の人」(離別者と死別者)は、未婚者に含まれません。
(2)その5年後、2010年国勢調査では、この人たちは40~44歳になっています。彼らの未婚率は28.6%でした。
(3)2時点の未婚率の差は31.2-28.6=2.6です。小数点以下を四捨五入すれば3。この差が「5年間に結婚できた人」の割合を表します。
(4)ということで、35歳以上の男性が結婚できる確率は3%なのです!

 

ちなみに同様の計算を女性について行うと、18.7-17.4=1.3になります。さて、皆さんはこの論理のおかしな点に気がついたでしょうか。

「変化量」と「変化率」は別物

注目すべきは、「変化量」と「変化率」の違いです。「変化量」とは、何かの数値の変化を引き算の形で表した数値のこと、「変化率」は変化量をパーセント(割合)の形で表した数値のことです。

たとえば、バーゲンで定価5000円のシャツが3500円に値引きされたとします。この時、シャツの値段の変化量(値引き額)は5000-3500=1500円です。他方、この「1500円」という変化量が、変化前(もしくは変化後)の数値を基準とした時、何%になるのかを表すのが変化率です。シャツの例の場合、値引き前の定価5000円を基準とすると、1500円の変化率(値引き率)は1500÷5000×100=30%になります。つまり定価の30%オフ(3割引)です。

変化量と変化率の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

・変化量:2つの時点の数値の差をとったもの。計算法はただの引き算

・変化率:変化量をパーセントの形に変換したもの。計算法は「変化量÷基準値×100」

変化量と変化率の違いを踏まえ、3%説を見直してみましょう。「2005年の35~39歳の男性の未婚率と、2010年の40~44歳の男性の未婚率の差」は、単なる引き算で得られる数値なので、変化率ではなく、変化量です。

そして、ここが大切なのですが、未婚率や内閣支持率のようにパーセントを単位とする数値の変化量は、「パーセント」ではなく「ポイント」と呼ぶのが統計学的に正しい。パーセントの変化量を「パーセント」と呼んでしまうと、変化率を表す「パーセント」と区別がつかなくなってしまうので、混乱を避けるために、変化量は「ポイント」とするのです。

ということで、3%説の根拠となっている未婚率の差は、「3パーセント」ではなく「3ポイント」とするのが統計学的に正しいのです。さらに、この数値は「未婚者が結婚できる確率」を示しているわけではありません(理由は後ほど説明します)。

次ページ正しい「結婚できる確率」を計算してみた
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