元三菱商事秘書が挑むローソンの「2位復帰」 玉塚氏との役割分担は変えず社長へ昇格

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――現在、竹増社長はM&Aを担当しています。2014年度に成城石井、ユナイテッド・シネマと相次いで買収してきましたが、今後の買収戦略はどのように考えていますか。

ローソンが買収した高級スーパーマーケットの成城石井(記者撮影)

買収先については自ら属する業界の中で競争力があることが大事となる。ユナイテッド・シネマであれば映画館業界でどのくらい競争力持っているのか。

成城石井は高級スーパーマーケットの世界でどれくらいのポジションに位置しているのかを理解しなくてはいけない。ローソンにすがり付いてお客さんを呼ぶというのはダメ。強い者同士でシナジーを出していかなければならない。

今はそんなにM&Aをしようとは思っていないが、まずは今までの買収先をしっかり成長させていくことに力を入れて行きたい。

今のローソンに足りないこと

――M&Aは一旦終わりということですか。

あればもちろん考える。競争力が高いことと、われわれの経営理念を共有できるか次第だ。

――今のローソンに足りない部分については、業務提携やM&Aによって補完していく考えもあると思います。

やはり、ヘルスケアや介護といった部分は可能性がある。直接の介護ではなくても、相談したいという人も多い。そういうニーズに応えていきたい。ただ、提携やM&Aについては、繰り返しになるが、理念を共有できるかが絶対条件となる。

われわれはやみくもに店舗数を追いかける発想はない。店舗開発に消極的ではないけれども、店舗開発の優先順位が第1位ではない。店舗の質をいかに上げていけるか。1店舗ずつがいかに競争力を出していけるかにかかっている。

――セブン&アイやイオンは金融事業に参入している。ローソンも意欲はありますか。

お客様の利便性や求めているニーズ。これを各部署で仮説を立て続けている。商品本部も運営もしかり。(金融は)その中の一つであるということで、具体的に何かを決めているわけではない。これからもいろんなサービス、機能、商品、お店のハードも含めて、いろいろチャレンジしていかなくてはいけない。

――2015年度は国内店舗数で当初450店の純増を計画していたが、結果は119店の純増にとどまりました。

昨年はローソンストア100の不採算350店を一気に閉めた。出店していた地域に対しては申し訳ない。すごく重い決断だった。いったん350店を整理して、「ここからもう1回行くぞ」という気持ちだ。

競合を見ると、いろいろな動きはある。ただ、本部が全店舗背負って勝負をするイメージではなく、1店舗1店舗が地域ごとで競争している。こうした勝負を多くの場所でやっていけるかが重要だ。

決して店舗開発を捨てたわけではないし、今年は1200出店を計画している。われわれ本部は商品開発、キャンペーン、販促などすべてに力を入れてやっていく。

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