三菱商事はなぜローソンへ関与を強めるのか 垣内新社長が語る"次の商社論"とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
垣内社長は「二度と一番から降りないようにしたい」と覚悟を語った(撮影:尾形文繁)
総合商社の王者・三菱商事が岐路に立たされている。前2016年3月期は、資源相場の下落を受け、銅、LNG(液化天然ガス)などの資源事業で合計4300億円の減損を計上し、創業来初の連結最終赤字に転落する見込みだ。15年間維持してきた純利益で商社トップの座を伊藤忠商事に明け渡すことにもなる。
王者復活へ向け、どのように三菱商事を変えていくのか。4月1日に社長に就任したばかりの垣内威彦氏に聞いた。

 

――赤字決算からの船出となるが、厳しい事業環境の中でどう経営の舵取りをしていくのか?

資源でいえば、「相場が上がればこんなに儲かります」といまさら言ってもばかばかしいので言うつもりはない。市況回復は期待しないほうがよいという反省を込めて、資源アセット(資産)の絶対額は当面増やさない。

少なくとも2018年までは、今仕掛かっているものに上乗せすることはない。直近の最悪時の価格が今後3年間続いても、それなりの数字を出せると、5月に発表予定の中期経営計画で定量的な数字を出したい。

一方、非資源は幸いなことにキャッシュフロー(CF)が出ていることから、経営資源を優先的に非資源に回して成長のドライバーにする。ポートフォリオを自分たちの考える理想にリバランスにして、今度こそ、相場がどう動いたとしても資源、非資源でバランスできるような磐石な経営体制を作っていきたい。

二度と一番から降りないようにする

――原油をはじめ、資源価格はいまが底値で、買いどきとの見方もある。

相場が苦しい中、体力競争になって(苦しいところから)持ち込まれている資源案件はたくさんある。よい資産があれば買う。ただ、強調したいのは、それにアジャストする形で相対的に劣後する案件を売却して全体の量は変えないということだ。

4月下旬にインドネシアのニッケル事業を売却したが、相対的に劣後するニッケルを買うことはない。強みのある銅、原料炭、LNG(液化天然ガス)の3つに絞って優良資産に入れ替えていく。

次の中期計画は、相場が上がる前提では見ていない。もうその手には乗らない。資源がダメでも勝つ!というのがいいでしょう。1年、2年でどうにかなるとは思っていないが、今度1番に戻ったら二度と1番から降りないようにしたい。

――一案件ごとの投資額が巨大になり、回収期間が長期化する中で、短期、長期とも収益を安定させるのは難しくなっている。

一つ専門的になるかもしれないが、(IFRSを導入して)時価会計になっているため、1年ごとに増収増益を達成するのが非常に厳しくなっている。会計上のサイクルと3年、5年、10年間という事業のサイクルが一致しないからだ。

一定のサイクルで暖かく見守っていただければ、もっと経営は楽になるが、1年ごとの数字も大事なので一生懸命やりたい。相対的にヘッジが効くように、もっと安定した事業の比重が高くなるように配慮していく。

次ページローソンとの関係はどうなる?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事