三菱商事はなぜローソンへ関与を強めるのか 垣内新社長が語る"次の商社論"とは

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――具体的にどういう施策が必要か?

総合商社のビジネスモデルを「事業投資」から「事業経営」に変えていく。商社が(メーカーや小売りなどに)出資をして、そこの製品を扱うとか原料を売るとか、商売との関わりの中で事業投資をする時代がこれまでだった。

一方、事業経営では、出資比率が2割超の持分法適用会社から5割超の子会社まで、私どもが保有している全グループ企業株を成長させ、リターンを得ていく。

――社長を送り込んで経営権を握る、あるいは出資比率をあげて子会社化するということか。

株主として出資先への経営義務を果たしていくということだ。これまでの反省もある。経営権を取っているところはたくさんあるが、いままでの日本的なやり方では、一度連結をすると「末永くお付き合いをしましょう」、というのがごく普通だった。

たとえば、社長や副社長を出すとかそれなりの経営関与の仕方は踏襲してきたが、深く考えず行動せず、ずっと同じ状態で見過ごしていたらそれは罪で、株主の責任を果たしたことにはならない。

時代や外的環境が大きく変化している中で、ポジティブな意味において、三菱商事が株主として経営参画するのがふさわしければ、もっと突っ込んで会話をしていくべきだ。より積極的に人を送り込み、われわれが持つインフラを投入して、出資先の会社の成長に深く関与していく。

ローソンとの関係はどう変わる?

――三菱商事のグループ企業の代表格としてローソンがある。これはすでに事業経営ができているか?まだ事業投資か?

ローソンとの関係は物販中心に構成されている部分が大きかった。公共料金の支払いやATMは前からやっているが、これからは、ヘルスケア、物流支援などでも三菱商事の持つインフラ網を大いに使ってもらい、一体となって成長していきたい。

必要であれば今まで以上に積極的に株主としてサポートしていく。今より深く経営にかかわっていくという風に取ってもらっても結構だ。玉塚さん(ローソン社長)、竹増さん(同副社長)とも思いは通じ合っている。

ローソンは6月、三菱商事出身の竹増貞信副社長(左)が社長に就任する。会長に就任する玉塚元一社長(右)は「三菱商事出身の社長がいることで、その覚悟(引き出すこと)が狙える。グループの総力戦に持っていく」と発言。リソースを最大限に活用する方針を示した(撮影:梅谷秀司)

――商社ががんじがらめに取引に入ることで、かえって消費者のニーズから離れコンビ二の収益力が落ちるという考え方もある。

そういう時代は終わったと言いたいのだ。ローソンならローソン自身が成長してもらうために、三菱商事がどう関わっていくかがテーマになる。会社を三菱商事のエゴでどうこうするような、そんな時代ではもうない。

一般論として、(出資先の企業をほかの企業と)合併させたたほうがいい場合もあるだろう。合併することで出資比率が希薄化してもいいし、われわれがこれ以上、その企業を成長させることができないなら、より成長させられる方にドライビングシートに座ってもらうことも考えるべきだ。

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