丸紅、身の丈を大幅に超えた投資路線を反省 またも資源で1200億円の大口損失

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國分文也社長は「資源価格が上がれば上がるほど買いに対する圧力が出てくる」と省みる(写真は3月22日、撮影:尾形文繁)

総合商社大手の丸紅は結局、2期連続で大口損失を計上することとなってしまった。チリの銅事業や豪州ロイヒル鉄鉱山プロジェクト、米国をはじめとした石油・ガス事業など、資源案件の減損700億円を中心に、合計1200億円の大口損失を計上。今2016年3月期の純利益計画は従来の1800億円から600億円に大幅な下方修正を迫られる。

資源の最大需要国である中国経済の失速により、総合商社各社の15年度決算は総崩れの様相だ。長期にわたる資源価格の前提を引き下げたことに伴う将来収益性の低下で、簿価を切り下げる減損損失が相次ぎ発生した。

住友商事が1700億円の減損を計上する見込みのほか、3月下旬には三菱商事と三井物産がそれぞれ4300億円、2600億円の減損を計上し初の連結最終赤字に転落することを発表したばかり。非資源事業に強みを持つ伊藤忠商事だけが高い利益水準を維持する見込みだが、同社も一部資源事業での損失処理が生ずることを示唆している。

5番手の焦り?非資源でも減損

原因が資源価格の下落だけとも言い切れない。総合商社は2000年代前半からの商品市況の高騰と金融緩和を背景に、金属・エネルギー事業の資源アセットを競うように積み上げてきた。ある商社幹部は、「中には開発コストが高い資源権益への出資やプレミアムを相当支払った案件も少なくなく、各社とも特にこの5、6年間の投資案件で減損を計上しているのはその結果でもある」と話す。

中でも、自己資本が最大手の三菱商事の3分の1以下で、総合商社5番手が定位置だった丸紅は積極的な投資姿勢を打ち出してきた。近年、業界全体がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いた余剰キャッシュ)の黒字化や株主還元の拡充を経営計画に掲げる中、丸紅はこうした施策を先送りにしその分を新規投融資にまわしてきた。

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