丸紅、身の丈を大幅に超えた投資路線を反省 またも資源で1200億円の大口損失

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ところが、同社最大の2700億円を投じて2013年に買収した米国・穀物メジャーのガビロンは買収後の業績が低迷し、前2015年3月期に500億円ののれん減損を計上。今2016年3月期も資源案件のほか、鉄道や電力など海外プラント案件で200億円の損失引当を積むなど、非資源事業でも果敢な新規投資が裏目に出ている。

國分文也社長は4月18日の記者会見で、「資源価格が上がれば上がるほど、どうしても買いに対する圧力が出てくる。そこをどうコントロールしていくか。単純に資源価格が下がったからと総括する気はまったくなく、非資源も含めどこがポイントだったかを調査している」と反省の色を滲ませた。

今年2月に策定した新中期経営計画「GC2018」では、今後3年間の新規投融資をフリー・キャッシュフローの黒字化を大前提に変更。「ノンコア事業からの撤退、戦略的売却による投資回収を促進してキャッシュフローの極大化をはかり、借入金の返済を優先してD/Eレシオ(有利子負債比率)の改善に最優先で取り組んでいきたい」(矢部延弘CFO)。

取らぬ狸の皮算用、プレミアムを払いすぎ

銅や鉄鉱石などの戦略資産は長期で保有する一方、競争力の低い北海やメキシコ湾の石油・ガス権益からの撤退を視野に入れる。今後は丸紅が本来の強みを持つ電力、穀物、輸送機などの事業に経営資源を集中させる構えだ。

丸紅に限らず総合商社は、「純粋な投資銀行とは異なり、事業投資の際には、長期間で周辺ビジネスのシナジーを大きく見込み、プレミアムを多く支払う。その分、投資規律が緩み、後に減損を計上しても当時の経営責任がどこにあったか曖昧になる例が絶えない」(商社セクター担当のクレジットアナリスト)との指摘は多い。

単純な資源・非資源の事業ポートフォリオの見直しだけではなく、投融資規準の見直しや経営責任の明確化に踏み込めなければ、商社の大口損失の歴史は繰り返されてしまうだろう。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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