三菱商事はなぜローソンへ関与を強めるのか 垣内新社長が語る"次の商社論"とは

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当社は連結対象企業が現在1226社(2015年12月末時点)あるが、より三菱商事が経営力を発揮させてもらって、各社が1割でも2割でも成長すれば、滲み出てくるように全体の収益力が拡大する。三菱商事が関与することで出資先の企業の成長が約束できるのであれば、積極的に経営に参画していきたい。

――結果的に現在1000社以上ある三菱商事のグループ会社が減っていくかもしれない。

減ってもいいと思っている。より経営に関わったほうがふさわしいのであれば増やせばいいし、いないほうが成長できる場合は去ってもいい。

つねに考え続けることが大切だ

――長い間、利益と配当を取り込んできた投資先でも、今後出資引き揚げを検討するとなれば、現場の反発も出てくるのでは?

次のステップを踏むために単純出資というステージがあることは理解できる。だが、何の戦略も方向感もなく単純出資を持ち続けるというのは世の中の常識からしてそれはいかん、意味がない。

かきうち・たけひこ●1955年生まれ。1979年に京都大学経済学部卒業後、三菱商事入社。一貫して飼料畜産・食糧の営業畑を歩き、2010年に執行役員、2013年に生活産業グループCEO、2016年4月より現職(撮影:尾形文繁)

「何のために株を持っているんだ」と社員につねに問いかけたい。「これ以上この会社を成長させることができると思っているのか!」と。思っているならOK。そうでないんだったらもうやめよう。元来そういう考え方。はっきりしていていいでしょう。

現場の社員に反発してもらうのも、楽しいじゃないか。「こんなに一生懸命やっているのにそういうわけにはいかない!」と、それがまた会社をよくしていく。

――資源事業は一般的に商社の出資比率が低く、海外の資源企業が事業の主体となっている。

資源といえども、さまざまな経営的視点があるはず。呆然と見ているわけではなく、世の中が変化する過程の中で、自分たちが持っている資産が本当に未来においても適正なのか。もっとコストダウンできるところはないのかなどと、つねに考え続けることが必要だ。

資源と非資源で共通している部分は多い。何もせずに持ったままでじっとしていれば人は成長しないし、意味がない。刺激のあるアクティブな会社に社員を張らないとみんな死んでしまう。それは会社にとって、適切な成長過程とはいえないだろう。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年4月から再び『週刊東洋経済』編集部。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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