自社商品強化の一環で力を入れているのが、地域密着の商品です。
2007年に発売したのが、関西弁の挨拶が印刷されたのし袋。「心ばかり お茶でも飲んでや」「ほんま 気持ちやでぇ~」「おせんべつ 元気でなぁ」「長い間 ほんまお疲れさんでした」など。「予想外のヒットで、私たちも驚いています」と芝池社長。好評に力を得て、「おとん おかん ありがとうなぁ」といった感謝状も作りました。
関西だけでなく、長崎弁、博多弁、佐賀弁、さらに鳥取弁などの祝儀袋も商品化しました。ボクが気に入ったのは名古屋弁バージョンです。「ちょびっとの気持ちだわ」「はよ良うなるとええなも」など、手に取ると思わず笑ってしまいます。決まり文句の固い言葉より、それぞれの土地の言葉を入れることで、贈り主の気持ちが相手に伝わります。方言の効用です。
ただ地方の表現には、ニュアンスなど、その土地の人でないとわかりにくいところがあります。そこで地方の取引先を巻き込んで、正確を期しました。当初7種類から始めて今では40種類に増加。今後、京都、奈良言葉の発売も予定。「全国各都道府県別の地元の言葉を入れていきたい」と、ケンミン言葉での全国制覇を目指しています。
「仕事で苦労した覚えがない」
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芝池社長は42歳の若さで2代目社長に就任しました。先代の父親の言葉でよく覚えているものがあります。
「私は仕事で苦労した覚えがない。仕事が好きだったからだ。好きこそ物の上手なれだ」――。仕事がマンネリになったり、嫌いになりそうになると、この言葉を思い出すそうです。
「楽しく仕事をしたいと思っています。だから、フットワーク軽く、を心がけています。世の中の流れにマッチしなければいけません。地方創生が叫ばれていますが、ご当地祝儀袋もそうした流れに乗っていると思います」
一方で、流れに棹さす商品の開発も怠りません。若者の文字離れが激しいですが、それは大人たちの問題でもあります。それで「書き方」を添えた「レターセット」を作りました。花嫁が両親に手紙を読むのは結婚式のクライマックスですが、そんな大袈裟なものでなくても、機会があれば子供から両親に手紙を送ろう、という提案です。
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